日本歯科新聞 | 2017年9月12日付
ロボットが「歯の形成」、口腔筋トレ支援用ゲームも─革新的研究の展示会
日本全国から500を超える大学やベンチャー企業等が研究開発の成果を展示・発表するイノベーションジャパン2017が8月31日と9月1日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた。CAD/CAM工程前の「歯の形成」から自動化を試みようとする研究や、口腔機能低下症の予防を目的としたゲームの開発など歯科に関する展示もあった。
審査支払機関改革「審査には柔軟性が必要」─遠藤日歯常務理事が社保審で
日本歯科医師会の遠藤秀樹常務理事は6日に開かれた社会保障審議会医療保険部会で、厚労省が7月に公表した「審査支払機関・データヘルス改革」の審査の在り方について、 「あらゆる患者や病状および少数の例外事例にも対応する必要があるため、診療報酬の審査には柔軟性が必要で、そのための最終判断には診断能力を有する臨床経験の豊富な医療の専門家が当たるべき」と主張した。
診療報酬改定など協議─山梨で関東地区歯科医師会役員連絡協議会
「2025健康長寿社会に向けて歯科の果たすべき役割の具現化を目指して」をメーンテーマにした平成29年度関東地区歯科医師会役員連絡協議会が甲府市の甲府富士屋ホテルで8月31日に開かれた。分科会では平成30年度診療報酬改定や会員増強対策、女性歯科医師の活躍などについて意見交換した。来年4月に控える診療報酬改定に向けては感染予防の点数化などの意見があった。
日本健康会議で健康づくりの進捗を報告
日本医師会、日本歯科医師会、日本経済団体連合会、全国知事会などの医療・経済・保険者団体や自治体などで構成する日本健康会議(共同代表・三村明夫日本商工会議所会頭)は8月21日に会合を開き、「健康なまち・職場づくり宣言2020」の進捗状況を報告した。
神奈川県保険医協が「医療政策2035」を発表
神奈川県保険医協会(森壽生理事長)は、これからの医療保険制度や医療提供体制の在り方を提言する「医療政策2035」をまとめ、8月25日に厚労省内で記者発表した。同提言は、厚労省が2015年夏に発表した提言書「保健医療2035」に対抗するもの。同協会は、厚労省の提言書について患者・国民や医療者の願うものと相反しているとし、医療費抑制、給付の縮小、保険医の定数配置、自由開業制の見直し、さらに120項目の改革メニューがあるのに歯科医療と薬局は度外視しているなどを問題点として挙げた。
社保、件数は3.2%増で点数は1.6%増
社会保険診療報酬支払基金による平成29年4月診療分の総計確定件数は8,592万1千件、点数1,336億9,890万2千点で前年同月に比べ件数は0.7%、点数は1.4%それぞれ増加した。歯科は1,117万6千件、132億3,892万7千点で、前年同月に比べ件数は3.2%、点数は1.6%それぞれ増加した。歯科の件数は21年6月に増加に転じ、東日本大震災が発生した23年3月に一度減少したが、それ以降は増加している。
国保、市町村の件数と医療費は減
国保中央会がまとめた平成29年4月診療分の総医療費は市町村国保と国保組合、後期高齢者を合わせて2兆2,087億円で、うち後期高齢者分は1兆2,884億円だった。歯科医療費は市町村が630億円で、対前年同月比で7.4%減。組合は46億円で3.4%減。後期高齢者は479億円で3.0%増加した。
矯正治療歯の移動、骨細胞産生RANKLが鍵
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の研究グループは、歯科矯正の歯の移動に骨細胞の産生するRANKLが重要な役割を担うのを明らかにした。より精密な歯の移動の制御を可能にするための、矯正歯科治療における骨細胞を標的とした新規治療法開発の分子基盤の確立につながる研究として期待がかかる。成果は国際科学誌『Scientific Reports』オンライン版(8月18日)に発表された。
扁桃組織の気道占有率、日本人標準値を算出
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科と東京共済病院の研究グループは、日本人の鼻咽腔と中咽頭に対する咽頭扁桃、口蓋扁桃の気道占有率を年齢区分ごとに計測し、標準値を算出した。同算出により、扁桃肥大患者に対して、気道占有率に基づいた診断、治療が可能となり、扁桃摘出術の適応判断の一助となる可能性があるという。同研究成果は国際科学誌『Scientific Reports』オンライン版(8月29日)に発表された。
歯の細胞バンク外来、日歯大新潟病院が開設
日本歯科大学新潟病院は、歯髄を管理・保存するための「歯の細胞バンク外来」(佐藤英明医長)を1日に開設した。日歯大では乳歯や智歯、矯正治療に伴う抜去歯等から取り出した歯髄を将来の再生医療に活用するため、2015年に歯髄細胞バンクを立ち上げており、東京の附属病院や細胞培養加工施設とともに同事業のさらなる推進を目指す。
FDI理事に井上氏が再選
スペイン・マドリードで開かれた第105回FDI世界歯科大会の会期中、8月31日の総会で役員選挙が行われ、日本歯科医師会が推薦した井上孝氏(日歯国際渉外委員会副委員長・東京歯科大学教授)が理事に再選した。任期は2020年の同大会まで。
大歯大、大学院医療保健学研究科が設置認可
大阪歯科大学が申請していた大学院医療保健学研究科口腔科学専攻(修士課程)の設置認可が、8月29日に文部科学大臣より出された。同大は今年4月から、歯科衛生士、歯科技工士の養成課程を4年制の医療保健学部に編成している。来年の4月に開講予定。
米国の歯科医師ダン・フィッシャー氏、広告でトランプ政権に言及
米国の歯科医師であるダン・フィッシャー氏がトランプ政権の政策動向に言及した「TURN YOUR BACKS ON TRUMP」(トランプに背を向ける)と題した広告を、8月22日付のニューヨークタイムズとワシントンポスト、ユタ州の地方紙、翌23日付のタブロイド紙のUSA TODAYに掲載した。フィッシャー氏は、米国・ユタ州に本社を置くウルトラデントの創設者CEOでもあるが、今回の広告掲載に関してはウルトラデントとは一切関係なく、個人として行ったことであり、費用は全て本人が負担している。さまざまな人種が暮らす米国で、寛容性を持って人と接するという姿勢や精神は重要であり、これまでのビジネス成功にも影響を与え、国に貢献してきたという思いがあると強調している。
身元確認、診療情報の標準化へ─コンピュータ協会が普及事業説明会
日本歯科コンピュータ協会(山中一剛会長)は会員を対象に「身元確認に資する歯科情報の標準化普及事業説明会」を東京都台東区の日本歯科器械会館で8月31日に開催した。講師の多貝浩行氏(モリタネットワーク開発部次長)は、厚生労働省の「歯科診療情報の標準化に関する検討会」に委員として参画。歯科診療情報の標準化が進められている背景について、「3.11の際、身元確認において歯科診療情報の有効性は証明されたが、歯科医院が所有する対象資料の収集が困難だったり、標準化された歯科情報が整備されていなかったりしたため、課題も残った」と説明。歯科医療機関の電子カルテなどから抽出される標準化情報の有効性・妥当性を検証するために日歯らでモデル事業が実施された経緯などを紹介した。
次期参院選「無罪ならば選挙戦う」高橋日歯連盟会長が私見
関東地区の歯科医師連盟は、平成29年度役員連絡協議会を甲府市の甲府富士屋ホテルで8月31日に開き、次期参議院選挙への対応を協議した。各連盟からは組織内候補者の擁立を求める意見が多かった。これに対し日本歯科医師連盟の高橋英登会長は、私見と前置きした上で、迂回寄付事件で元会長ら3人と日歯連盟が起訴されている現状では選挙を戦うのは難しいとの認識を示し、「3人および日歯連盟が無罪になれば組織選挙を行う」と発言した。