日本歯科新聞 | 2005年2月22日付
日歯は厚労省に組織改革の現状と将来展望方針の文書提出
日本歯科医師会(井堂孝純会長)は2月10日付で、「日歯改革検討委員会」が昨年12月にとりまとめた第一次答申に基づき取り組んできた当面の組織改革についての現状と将来展望を文書にまとめ、2月15日に厚労省に提出した。同文書は、前役員が引き起こした一連の不祥事による「日歯関連事件」で失った国民や厚労省に対する信頼を回復するための「日歯会長選出方法の改正」や「日歯と日歯連盟の峻別」、「不祥事関係者に対する処分」などの取り組みを明らかにしたものだ。
厚労省は中医協に医療経済実態調査の論点案「速報値公表は11月上旬」を提示
厚労省は2月16日、中医協調査実施小委員会(委員長・土田武史早稲田大学商学部教授)に平成17年6月に実施する第15回医療経済実態調査の速報値の公表について従来より1カ月前倒しし、11月上旬に公表したいなどとする論点案を提示した。速報値の繰り上げは、診療報酬改定幅の大詰めの議論に入る12月上旬に公表されており、委員からは「速報値が改定に反映されているか疑問」などの意見が相次いでいた。厚労省では1カ月前倒しで公表することで、調査結果をできるだけ改定に反映させたい考えだ。
厚労省は中医協有識者会議委員5人の起用発表
厚労省は2月15日、中医協の運営方法などを見直す「中医協の在り方に関する有識者会議」の委員に大森政輔氏(国家公安委員会委員)ら5人の起用を発表した。贈収賄事件以降、中医協の組織の在り方などが問われ、昨年12月17日に尾辻秀久厚労相と村上誠一郎規制改革担当相との間で有識者会議の設置を合意した。
尾辻厚労相は社保懇で医療制度改革案を提示
尾辻秀久厚労相は2月16日、政府の「社会保障の在り方に関する懇談会」で来年の通常国会に法案提出を予定している医療制度改革案について説明した。尾辻厚労相は保険財政の安定化のために?市町村が運営する国民健康保険を都道府県単位に広域化する?政府管掌健康保険を都道府県単位に分割する?各地域の特性に合わせて生活習慣病対策などを実施し医療費を抑制するとした。医療費抑制策を巡っては、経済財政諮問会議と政府は、国内総生産(GDP)の伸び率程度に抑制する目標を定め、目標達成のための5カ年計画を策定したい考えだ。
厚労省の検討会は認定医療法人の論点整理を議論
厚労省の「医業経営の非営利性等に関する検討会」(座長=田中滋・慶應義塾大学院教授)は2月1日、5回目の会合を開き、2006年度の医療制度改革に合わせ新たに創設を検討している「認定医療法人」の論点整理などについて意見交換した。論点整理では、医療法人の非営利性の徹底で、財政基盤としての剰余金を医療に再投資することで地域に還元し、特定の個人や団体に帰属させないことを明らかにする。また、株式会社などの営利法人や個人からの資金支援については、支援者の名称などを開示することで非営利性を明確にする。
日医は医療政策シンポで国民皆保険制度下の医療提供体制で議論展開
日本医師会(植松治雄会長)は2月13日、平成16年度の医療政策シンポジウムを開催。「国民皆保険制度下の医療提供体制」をテーマに、関連する各方面の代表、識者を集めて活発な議論を展開した。基調講演では、田中滋慶大院教授(医療経済)が近年の「医療に関わる規制緩和」の様々な議論を整理したうえで、「公から民へ」というスローガンがしばしば「官僚支配のもとにあるものを市場の支配に任せるもの」という誤った認識が広がっている点を指摘。公共性があり、需要に対して拒否するということが難しい医療においては、市場化は馴染まず、地域で完結するように構築された公益セクターによる医療提供の在り方が今後求められるのだと述べた。
国保10月医療費は市町村の歯科が868億円で前年同月比0.8%減
国保中央会が発表した平成16年10月の国保医療費(速報)は、市町村と組合の合計で1兆5,244億9,862万1,603円と前年同月に比べ0.7%減った。被保険者数は5,166万1,029人で1.0%増えている。歯科は市町村で868億4,679万5,130円と前年同月に比べ0.8%減った。ただし件数では555万1,015件で4.5%増えている。
10月の介護保険給付費は月別で件数とも過去最高
国保中央会の平成16年10月の介護保険給付状況によると、第1号被保険者数は前月より5万3,782人増えて2,478万2,781人、認定者数は2万5,324人増え408万9,629人で、第1号被保険者数に占める割合は17%となった。介護費は5,262億円、件数772万9千件で、ともに月別での過去最高を記録した。
田原総一朗氏(ジャーナリスト)が「患者視点の医療論」で講演
ジャーナリストの田原総一朗氏は2月3日、東京・一ツ橋で開かれた第23回日本口腔腫瘍学会総会・学術大会(大会長・天笠光雄東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授)で特別講演し、医師と患者、その家族間のコミュニケーションの難しさや在り方について語った。講演のテーマは「患者の立場からみた医療について」。田原氏は妻・節子さんを乳がんで亡くしており、講演ではその実体験が語られた。
スペシャルオリンピックス冬季世界大会参加者の歯科的サポートで研修会
長野県で2月26日から開催されるスペシャルオリンピックス冬季世界大会(SONA)のヘルシーアスリートプログラムのスペシャルスマイル部門に参加登録したボランティア対象の研修会が2月6日、長野市内で開かれた。同部門は、参加アスリートの歯科健診や口腔衛生指導、マウスガードを製作するもので、県内歯科関係者、全国歯科大歯学部、県外歯科医師など600人が登録している。研修会には250人が参加。ヘルシーアスリートプログラム実行委員長の笠原浩松本歯科大学教授はあいさつで、同プログラムの目的について「知的障害を持つアスリートの健康増進の役に立ちたいということだ。自分で症状を訴えることのできない知的障害者にとって、歯の健康あるいは目、耳の健康がいかに大切であるかはお分かりのことと思う」と協力を求めた。
両国予備校が少子化の影響で閉鎖
医歯薬学部の受験予備校として知られる「両国予備校」が2月8日の授業を最後に閉鎖された。少子化の影響で浪人生が激減し、経営が成り立たなくなり、来年度の募集を打ち切った。同校は1975年に医歯薬学部の受験予備校として発足。86年には文系学部の受験科も設け、総合予備校となった。90年代初めのピーク時には生徒数が5千人を超え、講師も200以上になったが、現在は学生数約500人に縮小。また、大手予備校の「河合塾」が医歯学部専門の校舎を今春にも立ち上げることもあり、競争の激化が予想されていた。