厚労省WGが安全管理指針等で報告書

病院、有床診療所に義務付けられている安全管理対策指針及びマニュアル、医療従事者に対する医療安全研修などを歯科診療所も含めたすべての医療施設と薬局に義務付けを求める報告書「今後の医療安全対策について」を5月19日、厚労省の医療安全対策検討ワーキンググループがまとめ、大筋で了承した。報告書は若干の文言修正が加えられた後、医療安全対策会議、社会保障審議会医療部会に提出される。同省では、2006年の医療制度改革に合わせ必要な省令改正を検討する方針だ。

永久歯28本の資産価値‐患者と歯科医に3倍のズレ

永久歯28本の資産価値に対する意識調査で歯科医療従事者と患者との間に大きな認識のズレがあることが分かった。岐阜医療技術短期大学の中村浩二助教授が実施、まとめたもので、4月21日の日本口腔科学会で発表した。患者が感じる永久歯28本の価値は973万円だったのに対し、歯科医師は2,913万円で、患者の約3倍。歯科衛生士は1,709万円でおよそ1.7倍、歯科助手は1,256万円で1.3倍となった。歯一本あたりに換算すると患者約35万円に対し、それぞれ約104万円、約61万円、約45万円となった。

カルテ等患者からの開示請求はほどんど無し‐個人情報保護法で本紙が調査

個人情報の厳格な取り扱いを義務付ける個人情報保護法が4月1日に施行されてから2カ月近くになる。「患者さんなどから何らかの質問やカルテ等の開示請求を受けたことの有無」について本紙が歯科医師に行った聞き取り調査では、「特になし」あるいはそれに類する回答が72人中71人で、「レセプトが見たいという患者さんが多くなった」は1人だった。調査は5月7、8の両日、東京・有楽町で開催された「デジタルコミュニケーションフェア2005」の来場者を対象に無作為に実施した。

厚労省が各都道府県などに通知「HIV感染者への適切な歯科医療確保を」

歯科医療機関におけるHIV感染者などの診療体制について、厚労省は適切な感染防止を講じ、HIV感染者などに対する歯科医療の確保を行うよう各都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部長などに通知した。厚労省科学研究班が歯科医療機関を対象にHIV感染者などにかかわる診療体制の調査を実施したところ一部の医療機関から「診療を原則として断る」と回答していることが分かった。これを受け同省では、今後このような事例が出ることがないようにHIV感染症の正しい理解を求めると同時に「歯科臨床における院内感染予防ガイドライン(2003)」「HIV感染症の歯科治療マニュアル」などを活用しながら適切な感染防止策を講じるように求めた。

国保中央会17年1月診療分‐歯科は件数で市町村3.9%増

国保中央会による平成17年1月診療分の国保医療費(速報)の総額は1兆4,926億円、件数6,406万7,518件、被保険者数は5,162万人で、前年同月に比べ2.6%、2.2%、0.8%それぞれ増えた。歯科は市町村で813億4,610万4,300円、件数553万7,276件で、件数は3.9%増えたが、金額では0.3%減少した。

介護保険施設における口腔ケアで衛生士の実施率6.5%‐東歯大の岡田氏ら調査

全国4千の介護保険施設を対象にした口腔ケアに関する実態調査で、介護計画に口腔ケアを組み入れている施設は全体の9割あるのに対し、歯科衛生士が実施している施設は6.5%と極めて少ないことが分かった。東京歯科大学社会歯科学教室の岡田眞人助教授が昨年の日本歯科医療管理学会で報告したもの。調査は福祉情報ネットワーク「遊楽」から検索した全国1万5,722の介護保険施設(介護老人福祉施設、同保健施設、介護療養型医療施設、グループホーム)のうち、無作為抽出した4千件に調査票を郵送。1,713施設(42.8%)から回答を得た。「口腔ケア」の用語についてはほぼすべての99.7%が知っていると回答。必要性については99.6%が「感じている」とした。口腔ケアの効果では90%以上が口腔疾患の予防、誤嚥性肺炎予防、摂食嚥下障害の改善などを挙げた。

病院歯科初診患者で約半数に全身疾患

社会保障船橋中央病院歯科口腔外科の歯科医・高橋喜久雄氏らが同科を受診した初診患者約2千人の有病率を調べたところ、約半数が何らかの全身疾患を有しており、その内の約15%は予診表に疾病の記載をしていなかったことが分かった。調査対象は初診患者1,915人。うち男性829人(43.3%)、女性1,086人(56.7%)。年齢は0・96歳まで幅広く、平均年齢44.7歳。半数以上の1,090人が他の医療機関からの紹介患者だった。