平成17年度版厚労白書‐「地域とともに支える社会保障」がテーマ

厚労省は7月29日、「地域とともに支えるこれからの社会保障」をテーマにした平成17年版白書を発表した。白書では「地域」を視点に「地域社会の変遷と社会保障を取り巻く状況の変化」(第1章)、「地域によって様々な国民生活の姿と地域の取り組み」(第2章)、「地域とともに支える社会保障の構築に向けて」(第3章)の3章に分けて分析、提言している。まとめでは、地域とともに支える社会保障の構築について、地域の特性やニーズを踏まえた施策の実現が必要とした。さらに地方自治体は、実施主体としての責任の自覚のもとに自主性、裁量性を発揮し、地域のニーズを的確に踏まえたサービスの実施が重要と強調した。

16年度国保医療費速報‐歯科で市町村は前年比1.3%増

国保中央会がまとめた平成16年度の医療費速報で、歯科は市町村の医療費で前年度に比べ1.3%増えて1兆869億261万630円、件数は5.3%増の6,993万1,667件となった。また、歯科の被保険者別の医療費、件数の動向で市町村では「一般」と「退職」が前年度に比べて医療費、件数ともに増加している。

平成16年簡易生命表で男女とも平均寿命が過去最高

日本人の平均寿命が男女とも過去最高になった。厚労省が発表した「平成16年簡易生命表」で分かったもので、男性78.64年、女性85.59年となり、前年に比べそれぞれ0.28年、0.26年伸びた。また、生まれた人のうち半数が生存すると期待する年数を示す寿命中位数は男性81.57年、女性88.34年と男女とも80代を超えている。一方、将来どの死因で死亡するかを示す死因別死亡確率は、男女とも悪性新生物で将来死亡する確立が高く、3大死因(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)による死亡確率は、男性56.9%、女性55.0%と男女とも5割以上となった。

16年度高額レセプト1千万円以上は89件

健康保険組合連合会は平成16年度の高額レセプト上位の概要を発表した。「高額医療給付に関する交付金事業」に申請された医療費のうち、1カ月の医療費が1千万円以上だったのは89件で前年度より12件減だったが、500万円以上は2,462件で過去最高を記録した。

無医、無歯科医地区が減少‐厚労省報告書

わが国の無医地区、無歯科医地区数と人口は交通状況が改善され、確実に減り、平成11年と16年を比較すると無医地区数で120、人口4万人、無歯科医地区数では110、人口で9万人減少している。しかし、過疎地での高齢化の進行により医療需要は増加しており、引き続きへき地・離島保健医療対策の実施が重要などととしている。

上田教授(名古屋大学大学院)が再生医療でベンチャー企業設立

歯槽骨や口唇のしわなどの再生医療が、実用化と同時により多くの歯科医院で実施できるよう、名古屋大学大学院の上田実教授は新たなベンチャー企業を設立し、人材育成制度を同大に設置した。「これまで先端医療が研究から一般臨床に応用されるまでには長い時間を要した」とし、教授はこのタイムラグを少しでも減らしたい考えだ。

参院本会議で郵政法案に歯科関係議員は否決‐中原議員は賛成

郵政民営化関連6法案の採決が8月8日午後、参議院本会議で行われた。歯科関係の議員では、自民党の中原爽議員、関口昌一議員が「白」の賛成票、民主党の島田智哉子議員は「青」の反対票を投じた。法案は、投票総数233票(欠席・棄権8票)で、賛成108票、反対125票で否決された。日本歯科医師連盟の大久保満男会長は8月3日の記者懇談会で、中原爽参院議員の郵政民営化法案の対応について、同議員、日歯の井堂孝純会長と話し合って決めるとし、「中原議員の投票行動は、3者協議の結論と受け取ってもらって構わない」との見解を示した。

中医協で高度先進医療の要件緩和‐歯科は11技術対象

厚労省は8月3日、300床以上の病院に限って実施していた「高度先進医療」について、医療技術ごとに定める要件をクリアする医療機関なら規模に関係なく高度先進医療を認める改正案を中医協に諮問し、中医協は原案通り答申した。歯科は、インプラント義歯(著しい骨吸収を伴う歯牙欠損)、顎顔面補綴、歯周組織再生誘導法など11技術が高度先進医療の対象となる。