日本歯科新聞 | 2005年8月23日付
大阪開業の本田氏が口臭で画期的な治療開発
口腔内の菌叢をコントロールすることで口臭の発生しにくい口腔内環境を作り出すシステムを大阪府開業の本田俊一氏とCalifornia Breath Clinic主宰のDr.Harold Katzが開発、日米で商品化することになった。口臭治療では、一般的にスケーリング、舌みがきなどが指導されているが、効果に限界があった。また、従来の「除菌」とは異なり、菌叢も変える手法は侵襲性も少ない。本田氏らは、生活指導などのほか、一時的に口腔乾燥を防いだり、pHをコントロールする方法を中心とした複合的な口臭治療のシステム構築で研究を進めていた。
平成15年度都道府県別歯科医療費で老人医療費が大幅減
日本歯科医師会(井堂孝純会長)がまとめた「平成15年度都道府県別歯科医療費」の全国合計で件数、診療報酬ともに老人医療費が前年度に比べ落ち込んでいるものの、社保、国保が伸びており全体では増加した。老人医療費は14年度が前年度に比べ件数8.9%、診療報酬で5.2%増であった。15年度は件数で0.3%、診療報酬では7.5%の大幅減となっている。
社保16年度診療分‐歯科金額で1.4%の減
社会保険診療報酬支払基金が発表した平成16年度(16年3月~17年2月)診療分で、歯科は件数1億175万7千件、金額9,814億400万円で、件数では2.5%増え、平成7年度以降では最高となっているが、金額は1.4%減少した。歯科金額は平成12年度の1兆1,361億2,000万円から毎年減少し、15年度に1兆円を切った。
16年度概算医療費が総額31.4兆円で過去最高
厚労省は8月10日、平成16年度概算医療費が過去最高の31.4兆円になったと発表した。前年度より6,200億円、2.0%の増加となる。歯科は2.5兆円で0.3%増だったが、総医療費に占める割合では8.1%と0.2%減少した。歯科医療費の増加以上に医科、調剤の増加率が高かったために、総医療費に占める歯科の割合が減った。
政管健保が2年連続の黒字決算
政府管掌健康保険が2年連続で黒字決算となった。社会保険庁が8月3日、発表したもので、平成16年度の黒字は医療分と介護分を合わせると黒字額が2,464億円で前年度の3.8倍となった。被用者保険本人の3割負担による受診抑制や診療報酬のマイナス改定などが大きく影響したと分析している。医療と介護を合わせた収支は、収入が7兆3,631億円、支出7兆1,167億円だった。
訪問歯科で日中交流
日本訪問歯科協会(守口憲三理事長)と北京大学人民医院が7月16日、北京大学において、訪問歯科診療や高度先進的な歯科診療について交流を深める目的で日中訪問歯科研究会を開催。日本訪問歯科協会からは、守口理事長の他5人、中国側からは北京大学人民医院の謝雪峻氏、人民解放軍軍事医学研究院の牛忠英氏ら2人が報告した。日本側からの報告は、口腔ケアによる全身症状の改善例、補綴処置よる咬合改善の症例、訪問歯科におけるメディカルインタビューのほか、中国でも普及し始めているインプラント治療の最先端情報の提供といった内容。
第7回「ICAAP」が神戸で開催
アジア・太平洋地域のエイズを巡る諸問題の解決策を探る「第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」(ICAAP)が7月1日から5日まで、神戸国際会議場をメーン会場に開かれた。5年後には同地域のHIV感染者が1,200万人に達するとの見通しが国連から出されたこともあり、会議にはアフリカや中近東などを含め世界75カ国から、過去最大規模の3千人が一堂に会したほか、ボランティアや市民ら2千人も会議を支えた。会議のテーマは「科学とコミュニティの英知の統合」。2千の演題が発表され、93団体・企業が展示ブースなどに出展した。
第11回SCP日本選抜大会で日歯大新潟の宇波さんが優勝
全国の歯科大・歯学部の学生代表が、自身の研究や英語によるプレゼン力を競う、平成17年度スチューデント・クリニシャン・プログラム(SCP)日本代表選抜大会が8月10日、東京・市谷の新歯科医師会館で開かれ、日本歯科大学新潟歯学部4年生の宇波雅人さんが優勝した。2位は新潟大学歯学部4年生の信田智美さんで、ともに昨年10月に起きた中越地震の経験を生かし、大規模災害時の歯科救護活動に応用可能な点で共通していた。今年は過去最多の22校が参加。宇波さんの研究は「デジタルカメラにおけるマクロ撮影の可能性(携帯カメラを含めて)」。市販の小型デジタルカメラや携帯電話のカメラでも口腔内撮影が行える装置を開発、検討したもので、訪問歯科診療や緊急災害時でも簡単に省電力で撮影が行え、さらに携帯電話で瞬時の情報伝達も可能なことを示唆した。
8020推進財団が「食」で第5回フォーラム
8020推進財団学術集会「第5回フォーラム8020」(主催・同財団、厚生労働省、神奈川県歯科医師会、共催・神奈川県、日本歯科医師会)が7月31日、横浜のはまぎんホールヴィアマーレで開かれた。テーマは「命を守る8020―あきらめないで食べること」。歯科関係者以外にも、他の医療関係者や県民が多数参加した。
診療報酬改定で日歯が「対策本部」設置
日本歯科医師会(井堂孝純会長)は8月18日、「診療報酬改定対策本部」の設置を明らかにした。日歯として診療報酬改定に限定した対策本部を設置したのは初めてのことで、平成18年度改定にかかわる事業全般を検討する。
都道府県会長会議で井堂会長が会長選で見直し示す
日本歯科医師会の井堂孝純会長は8月19日、新歯科医師会館で開かれた。第100回都道府県会長会議で、選挙人を選出して決める日歯会長選挙費用について、「今回に限り」とした上で、各都道府県に一律20万円プラス会員1人当たり500円、総額4千万円以上の補助金を支給すると述べた。さらに投票での郵送代などを含めると選挙経費は総額8千万円から1億円程度かかるとの見通しを明らかにした。
18年度予算シーリング‐社会保障関係費5,800億円増額認める
政府は、平成18年度予算の概算要求基準(シーリング)を8月11日の臨時閣議で了解した。厚労省所管の社会保障関係費については、自然増分8千億円が見込まれているところを2,200億円抑えた5,800億円の増額を認めた。