日本歯科新聞 | 2006年1月17日付
国保組合補助金で歯科16組合が減額へ
医師、歯科医師、薬剤師らが加入する国民健康保険組合(166組合、被保険者数404万人)の調整補助金について、厚労省は組合の財政状況に応じて見直すことを決めた。歯科医師の27組合も4分割の調整補助率で分けられた。補助金が減少するのは全国歯科医師国保の他、秋田、山形、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、和歌山など16組合。増額となるのは広島、福岡、北海道、宮城、鹿児島など11組合。今回の改正は、医療制度改革の基本方針で「国保組合については、市町村国保との財政力の均衡を図る観点から国保助成の在り方について見直しを行う」と明記されており、16年度所得調査の結果に基づき、見直しを行った。調査結果で、歯科医師の1人当たり平均課税標準額は154万7千円で昭和58年調査より25万5千円高かった。歯科医師が他の業種に比べて増加額は一番低かった。このため歯科医師16組合は、補助金がすべてカットになったものの、11の歯科医師組合などは財政状況に応じて補助金が増額になるところもあった。
厚労省が中医協に「か初再診料」の廃止を提示
厚労省は1月11日、「かかりつけ歯科医初診料・再診料の廃止」や補綴時診断料の算定単位の変更及び補綴物維持管理料の引き下げなどを盛り込んだ平成18年度診療報酬改定のたたき台を中医協診療報酬基本問題小委員会に提示した。「か初再診」は、これまで抜本的に見直すとしていたが、廃止の文言を明記したのは初めて。1月18日までに方向性をまとめたい意向で、2月に個別点数の貼り付け作業を行う。
川崎厚労相が診療報酬改定で中医協に諮問
川崎二郎厚労相は1月11日、中医協の土田武史会長に平成18年度診療報酬改定の諮問を行った。川崎厚労相は諮問の際、答申に当たっては社会保障審議会医療保険部会・医療部会がまとめた基本方針に基づいて、マイナス3.16%の改定を行うよう求めた。中医協では診療報酬基本問題小委員会や公聴会などで議論した上で、点数の貼り付け作業を行い、2月中に答申を行い、4月改定を目指す。
歯科医院、老人ホームでの義歯管理や清掃指導不十分-鹿児大附病院の西講師ら調べ
鹿児島大学医学部・歯学部附属病院の西泰宏講師らが、義歯使用者約800人に行ったアンケート調査で、義歯の管理や清掃の指導が歯科医院で十分に行われておらず、老人ホームや在宅診療では、さらに指導が遅れている傾向のあることが分かった。
厚労省が歯科保健、資質向上などで検討会開催
う蝕の減少、軽症化、歯周疾患の増加といった疾病構造の変化や患者ニーズの多様化に対応するため厚労省は昨年末の1月12日、「今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関する検討会」を開いた。検討会では座長に日本歯科医学会会長で、日本大学名誉教授の斎藤毅氏を選出した。特に、今後の歯科医療分野の在り方での重要課題では、歯科医療が「8020運動」に象徴されるように治療中心から疾病予防・健康増進にシフトしつつあるとし、その上で、国民がライフステージに沿った一貫性のある適切な医療サービス提供のために医療の座標軸を明確にする。
平成17年10月歯科診療所数は6万7,181
厚労省の施設動態調査による平成17年10月末現在の歯科診療所数は全国で6万7,181施設となり、前月より69施設増えた。
大学生7割が歯周異常‐高知県と県歯調べ
定期的に歯科健診の行われない18~22歳までの大学生を対象に高知県と同県歯科医師会(恒石定男会長)が行った調査で、CPI個人データにより約7割が歯周に何らかの異常を示していることが明らかになった。調査は、近年の学校歯科保健調査で若年層に歯周疾患が見られている現状を踏まえ、より効果的な歯科保健事業の在り方を模索する目的で実施されたもの。
歯28本の資産価値2,130万円‐山口県歯調べ
山口県歯科医師会(右田信行会長)の医療管理委員会は、患者と歯科医師とで歯に対する価値観が、3倍近く差があるとした岐阜医療技術短期大学の中村浩二助教授による「歯の資産価値調査」を、会員対象に独自に実施し、医療過誤で歯を喪失した際の賠償額の想定を試みた。28本の価値は中村氏の調査で歯科医師2,913万円、患者973万円に対し、山口県歯の歯科医師2,130万円。
国保医療費速報上半期‐歯科の市町村は金額・件数とも増
国民健康保険中央会が1月12日に発表した平成17年4~9月までの上半期の「国保医療費速報」で、歯科の市町村は5,548億円、件数3,598万件で前年同期に比べ2.0%、3.9%それぞれ増加した。一方、歯科の組合については、医療費377億円、件数272万件で、前年同期に比べ件数は0.3%増加したが、医療費は1.2%減少した。
技工士ら医療専門職3団体で政治団体設立
歯科技工士や放射線技師及び作業療法士の連盟加入の会員による政治団体「21世紀の医療と福祉を支える会」が1月12日に設立され、会見及び祝賀会が東京・紀尾井町の赤坂プリンスホテルで開かれた。一部の職能に責任が集中する現行の医療の問題点を指摘、多くの医療専門職に責任を分散するバランスの取れた医療政策の実現の確立を強調。医療専門職の養成教育の4年制大学化、医療制度の核の確立に向け、次期参議院選挙に候補者を擁立するなどの目標を挙げた。参議院選挙候補者には、会見後に開かれた祝賀会で日技連盟会長の中西茂昭氏に推薦状が渡された。会見には同会長に就任した日本放射線技師会会長の熊谷和正氏、同副会長に就任した日本放射線技師会理事の伊藤宰氏と中西氏、同理事に就任した日本作業療法士協会理事の小林毅氏が出席した。
譽田氏裁判‐1月30日に論告求刑へ
中医協贈収賄事件で起訴されている前中医協委員で前福島県歯科医師会会長の譽田雄一郎氏の証拠調べが、1月12日に開かれた東京地裁の公判で終了した。1月30日に検察側の論告求刑、2月に弁護側の最終弁論が行われ、結審する。判決は3月になる見込み。
診療報酬改定の整理案で保団連が談話「初再診料の引き下げ容認できず」
全国保険医団体連合会の診療報酬改善対策委員会は1月12日、厚労省が1月11日の中医協総会に提示した「平成18年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」について、初・再診料など基礎的技術料の大幅引き下げは容認できないとする談話を発表した。厚労省は提示した整理(案)で、歯科の「かかりつけ初・再診料」についても廃止を示している。