日本歯科新聞 | 2006年5月23日付
アメリカの歯科医療制度問題で調査結果を報告(IADR第35回総会)
日本では、4月に行われた診療報酬改定が大きな波紋を呼んだが、アメリカにおいても、医療費の問題、公的医療保険の問題は新たな展開を見せている。今年3月にオーランド(フロリダ)で開催された国際歯科医学会(IADR)の第35回総会において発表された歯科医療制度問題に関する報告内容によると、低所得者の子どもの健康を守る目的で1997年に連邦法として成立した小児健康保険から小児歯科診療に支出された調査結果が発表され、そのニーズの適否が検証された。
「厚労省との関係修復が課題」-中国地区歯連絡協で大久保日歯会長が発言
中国地区歯科医師会の平成18年度第1回役員連絡協議会が5月13日、鳥取県米子市内のホテルで開かれた。就任後初めて来賓としてブロック協議会に出席した大久保満男日歯会長は、あいさつで、厚労省との関係修復を優先課題として、同省関係者や与党国会議員らと面会し、次回歯科診療報酬改定については日歯と厚労省で十分な協議をしながら進めていくことなどの申し入れを行ったと報告した。
診療報酬改定で通知の一部訂正-厚労省
厚労省は5月8日、平成18年度診療報酬改定で3月6日付の「診療報酬の算定方法の制定などに伴う実施上の留意事項」、3月30日付の「診療報酬請求書等の記載要領などについて」通知の一部訂正を発表した。
12大市歯役員連絡協が18年度改定で「声明文」
全国の政令指定都市の歯科医師会で組織する「12大市歯役員連絡協議会」は、開業歯科医師にとって死活問題であり、市民への良質で安心安全な診療の提供の確保が困難とする平成18年度の歯科診療報酬改定に対する「声明文」を大久保満男日歯会長に提出した。
歯科は件数金額とも増加(平成18年支払基金1月診療分)
社会保険診療報酬支払基金による平成18年1月診療分の総計確定件数は6,904万4,000件、金額8,504億9,100万円で前年同月に比べ、件数5.3%、金額3.8%増加した。歯科は834万2,000件、744億6,000万円で、前年同月に比べ件数では3.0%、金額でも0.3%とわずかながら増加したが、医療費全体に占める構成割合では前月より件数で0.1%、金額で0.4%減って件数12.1%、金額は8.8%となった。
「ニコチンパッチ」5月中に保険適用へ
川崎二郎厚労相は5月12日の衆議院厚生労働委員会で、これまで保険外給付だった「ニコチンパッチ」について、5月中に中医協を開催して保険対象にする考えを明らかにした。禁煙治療については、平成18年度診療報酬改定で保険対象となった。しかし、治療薬に使用される「ニコチンパッチ」が保険適用外のため、使用すると混合診療に当たるとの通知を厚労省は4月28日に全国に通知した。
禁煙週間、今年のテーマは「やめたい人を手助けする禁煙支援」(5月31日~6月6日)
禁煙週間(5月31日~6月6日)の今年のテーマは「やめたい人を手助けする禁煙支援」。厚労省が5月17日に発表したもの。平成18年度診療報酬改定で禁煙治療が保険適用されるなど禁煙を支援する環境が整ってきていることから、喫煙者に対する禁煙支援を通じ、喫煙の危険性などの啓発を進めたい考えだ。
18年2月末歯科診療所数6万7,202施設
厚労省の施設動態調査による平成18年2月末現在の歯科診療所数は全国で6万7,202施設となり、前月より62増えた。
18年度改定明細書の取り扱いで要望書-都保険医協
東京歯科保険医協会(中川勝洋会長)は5月2日、平成18年度歯科診療報酬改定での明細書の取り扱いについて、摘要欄の記載不備での返戻や査定を行わないよう求める要請書を東京都の国民健康保険連合会や社会保険診療報酬支払基金、社会保険事務局に提出した。
唾液検体で口腔がん早期発見-IADR第35回総会で発表
David Wang氏(UCLA・カリフォルニア)は、唾液を検体として口腔がんを早期発見する方法について基本的概念をまとめ、アメリカ・オーランドで開かれたIADR第35回総会で発表した。?Saliva RNA Test?と呼ばれるもので、がん発症リスクを遺伝子的に検出する。これまで、アメリカ国立歯科顎顔面研究所(NIDCR)、国立保健研究所(NIH)などで、口腔がんと唾液から分かる個別の遺伝情報との関連について大規模な研究がなされており、これは、その一環をなすものと見られている。
SAS検診で三師会が連携-東京都世田谷・玉川地区
地域での睡眠時無呼吸症候群(SAS)の早期診断・治療を促進するため、東京都世田谷区の玉川地区の医師会と歯科医師会、薬剤師会が全国に先駆けてSAS検診の連携事業に取り組んでいる。5月13日には玉川三師会主催で公開区民講座を開き、SASの説明や連携事業の紹介を行った。
ヘルスサイエンスの将来像提示-深井保健科学研 第5回コロキウム
日本では珍しい開業医が主催する公衆衛生関連の研究組織である「深井保健科学研究所」(深井穫博所長)は、4月22日に東京で第5回コロキウム「ヘルスサイエンス─新しい展開を求めて」を開催した。
日歯ら5団体が歯科の方向性で「湘南宣言」
保険外併用療養費制度への取り組みの前向きな検討、歯科医療新技術の保険制度導入による良質な医療提供など四つの骨子を盛り込んだ「湘南宣言」が5月18、19の両日、日歯や日歯医学会、日歯連盟役員らが参加した神奈川県の湘南国際村での合同合宿で出された。 両日は「歯科医療供給と医療保険制度」「高齢社会と歯科」「日本歯科医師会・日本歯科医学会の連携を強めるには」の各テーマについて、五つのグループに分かれ、多くの情報、気づきの中から関連のキーワードを拾い、アイデアの展開や問題解決の糸口を探り出す「KJ法」を用いたディスカッションと発表のほか、特別講演などが行われた。
患者への文書提供時間で民主・桜井議員が参院特別委で質問
平成18年度歯科診療報酬改定で患者への文書提供時間が1日平均で94分とられることが民主党の桜井充参議院議員の調べで分かった。5月17日の参院行政改革に関する特別委員会で明らかにしたもの。文書提供について桜井議員は、歯科医師だけでなく患者からも「不要論」の声が多いことを例に挙げながら「現場も困っているが患者も迷惑を被っている」として早期是正を求めた。桜井議員は患者への文書提供について「診療時間を削ってまでも提供することは医療の質を下げる。患者にとっても決して良い改定ではない。こうした制度を導入した目的は何か」「1日に何枚くらい書いて時間がどのくらいかかるのか把握しているのか」と質問した。川崎二郎厚労相は導入の経緯について「患者へ情報提供する観点から病状、治療計画、指導内容などについて患者に説明を行うとともに文書により情報提供することを指導管理料の算定要件にすることにした」と述べた。
医療関連法案に反対の姿勢-日医
日本医師会(唐澤祥人会長)は5月16日、国会で審議されている医療制度改革関連法案について緊急会見を開き、「高齢者負担増など財政主導の政策は国民の不安をあおり、医療の荒廃を招く危険性がある」として法案修正、付帯決議などを求めていく考えを示した。さらに保険外給付については「混合診療につながらないよう、注意深く見守りたい」と政府内の懇談会で、保険給付の見直しの動きがあることを牽制した。
次期参院選で自民党が石井氏を公認
来年7月に予定されている参議院選挙に日本歯科医師連盟が推薦する候補者、石井みどり氏が5月17日、自民党の比例代表の第一次公認候補に決定した。この決定を受け石井氏は「やっとスタートに立った思い」と語り、「これを励みに全国を回り、多くの先生に会わなければいけない」と決意を新たにした。