平成24年度診療報酬改定 歯科1.70%の引き上げ

平成24年度診療報酬改定の改定率は、薬価引き下げ分を含めた医療費全体(ネット)を0.004%引き上げることで小宮山厚労相と安住財務相、藤村官房長官が合意した。12月21日夜に首相官邸で開かれた会談で決定したもの。診療報酬本体はプラス1.379%で、医科1.55%、歯科1.70%、調剤0.46%それぞれ引き上げ。歯科の改定率は2回連続で医科を上回った。また、薬価は1.26%、材料は0.12%、計1.375%の引き下げとなった。介護報酬改定は1.2%の引き上げで、内訳は在宅1.0%、施設0.2%それぞれプラス。

日歯・連盟が緊急会見 プラス改定「評価する」

日本歯科医師会と日本歯科医師連盟は12月22日、平成24年度診療報酬改定率の決定を受けて、東京都の歯科医師会館で緊急の共同会見を開いた。大久保満男日歯会長、髙木幹正日歯連盟会長ともに、医療費全体(ネット)でプラス改定になったことについて「評価する」との見解を示した。

大久保会長は、医科・歯科の改定率の違いについて「医療費は技術料とモノに分けることができるが、医科に比べて歯科の方が技術料の比重が大きいため。以前のように医科・歯科が同率の改定に戻らなかったことは高く評価したい」と話した。点数については「前回は80点と回答した。今回は22年度改定と比べると改定率は低いが、日本の経済状況を考えるとやむを得ない。80点に近い評価だ」と答えた。

「95点」と高評価 24年度改定で原中日医会長

日本医師会(原中勝征会長)は12月22日に緊急会見を開き、平成24年度診療報酬改定で診療報酬全体0.004%の引き上げについて「医師の疲弊や地域医療の崩壊を少なからず食い止めるものだ」との見解を発表し、「100点満点とすると95点」と高い評価をした。

見解では、プラス改定は野田首相が財務相時代に「基本的にマイナスはない」とした発言を実行したもので、地域医療の崩壊を食い止めるものとし、厚労省政務三役などに感謝の意を示した。

改定項目で意見陳述-中医協で診療側と支払側

中医協は12月21日に総会を開き、平成24年度診療報酬改定について支払側、診療側の双方が具体的な改定項目についてそれぞれ意見陳述した。歯科関係では支払側からは在宅歯科や歯科外来診療環境体制加算、診療側からは初・再診料や在宅歯科などにかかわる意見があがった。1月から改定率の枠のなかで点数の貼り付け作業が行われる。

薬事法改正で意見書-日歯

日本歯科医師会は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)における歯科医師の増員や、開発意欲を促す審査体制の整備などを求める「厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会薬事法等改正の方向性(たたき台案)等に対する意見」を12月15日の理事会後の会見で発表した。民主党の厚生労働部門会議の医療・介護ワーキングチーム薬事法小委員会のヒアリングで意見陳述したもの。

 厚労省の厚生科学審議会の検討部会は、平成23年2月から薬害肝炎事件の検証と再発防止の観点の下、医薬品行政の在り方などについて検討を進めている。意見書で日歯は、歯科が医科と同様に薬事法の対象となる医療機器や医薬品等を使用している点を指摘し、日歯など歯科関係者が入っていない検討部会の委員構成の在り方について遺憾の意を示した。

定額負担を断念-政府

政府は12月20日に税と社会保障一体改革関係5閣僚会議を首相官邸で開き、社会保障分野の改革素案を取りまとめた。厚労省らが導入に前向きだった受診時定額負担や70~74歳の患者窓口負担の1割から2割への引き上げは、民主党内の反対論に配慮し断念した。

保険請求、震災後に収入減少42・4%-保団連が調査

東日本大震災の前後で歯科医療機関の保険請求点数がどう変わったか、全国保険医団体連合会が全国の会員3千人にアンケートを行ったところ、「減った」が42.4%と、「増えた」の7.1%を大きく上回った。

調査は昨年9月に実施されたもので、震災前後の保険請求点数では「変わらない」が48.6%を占めた。また、患者数については「増えた」8.2%、「減った」43.3%、「変わらない」46.4%。「秋以降、患者さんは増加すると思うか」では、「増加する」6.1%、「減少する」26.5%、「変わらない」30.0%、「分からない」36.0%となった。

禁煙を決意する平均は853円-ジョンソン・エンド・ジョンソンが意識調査

喫煙者が禁煙を決意するタバコの値段は平均853円であることが、ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマーカンパニーの「喫煙者の意識調査」で分かった。11月15、16の両日に全国の喫煙者316人(男女半々)にインターネットで実施した。禁煙のきっかけでは「健康上の理由」が最も多く、次いで「経済的な理由」となっている。

熊谷崇氏が歯科の現状に警告-ファイナル講演会で臨床40年を回顧

日本における予防型歯科医療のパイオニアとされる熊谷崇氏(山形県酒田市開業)のファイナル講演会が12月18日に東京都内で開かれた。同氏の講演のほかに、共同主催のオーラルケア、シロナデンタルシステムズ、ナカニシ3社社長による企業の発展モデルに関するプレゼンテーションをプログラムに組み込む新たな試みが注目された。1,500人が参加、会場を2カ所に分け、スクリーンで講演の模様を実況中継した。

脳機能NIRS誕生20周年記念講演会-脳科学が拓く21世紀の歯科医療

二つの脳画像診断技術によって21世紀の新しい歯科医療が生み出される-。12月11日に東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷で開かれた「脳の健康医療セミナー」の中で、脳との関係を通して広がりを見せる歯科医療の可能性が取り上げられた。

セミナーは、脳機能NIRS誕生20周年記念講演として行われたもので、「血流の上昇イコール脳の活性化」ととらえることによる誤診に警鐘を鳴らし、消費酸素を計測する脳機能イメージング(COE)を使うことで正しい活性化を評価できる点を強調した。

対談「予防普及に必要なもの」

予防の重要性が医療界に浸透しつつある一方で、実際の診療現場に根付いていないという問題がある。予防を根付かせるためにはどのような展開が求められるか。う蝕ワクチンの開発など予防分野に見識の深い鶴見大学歯学部臨床教授の武内博朗氏と、プロバイオティクスによる口腔細菌叢のコントロールなど、予防の概念を社会に普及させようとしている日本アンチエイジング歯科学会会長の松尾通氏に話し合ってもらった。

麻酔の効果など判定-ケージーエスが温度刺激装置開発

視覚障害者向け点字用機器などを製造するケージーエス(本社・埼玉県小川町、槫松武男社長)は、麻酔の効き具合の判定などに利用できる温度刺激装置「Tl-3101」を開発した。

同装置は、流す電流によって発熱したり、吸熱したりする熱電素子「ペルチェ素子」を活用したもので、装置先端から温度刺激を与えることで温覚・冷覚の神経反応を見ることができる。歯科においては、麻酔を行った顎顔面の皮膚に当てて、温かい刺激や冷たい刺激を与え、患者がそれを感知するかどうかを聞き取り、麻酔効果を判断することができる。

サンノーバ「ノイチーム」歯科の適用削除へ

エーザイ子会社サンノーバ(本社・群馬県太田市、金子俊雄社長)は、卵白リゾチーム製剤「ノイチーム」について、従来適用されていた歯槽膿漏などの効果・効能を削除する一部変更承認申請を行った。

同製剤は錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤など6品目が発売されており、慢性副鼻腔炎、気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症などの患者に使用されていた。