歯周病患者の心筋梗塞リスクは約2倍

東京大学大学院医学系研究科の研究グループは、金融保険系企業の36~59歳の男性労働者3,081人を対象にした5年間の追跡調査結果で、歯周病を有すると心筋梗塞になるリスクが約2倍になると発表した。英国の医学雑誌「Journal of Public Health」オンライン版(10月7日)が掲載したもの。

大病院の外来定額負担で調査 5千円以上で受診控え

大規模病院の外来受診において5千円以上の定額負担を徴収した場合、軽症患者は受診を控える可能性がある-。法政大学経済学部の菅原琢磨教授らによる平成25年度厚生労働科学特別研究事業で明らかになった。調査は、①軽症・初診②軽症・再診③重症・初診④重症・再診のケースについて、定額負担として0円、1千円、5千円、1万円、2万円の金額を設定し、①大病院②診療所③受診しないのいずれの受診行動を選ぶかをインターネットを通して1,849人が回答。日本歯科医師会常務理事の堀憲郎委員は「病院と診療所の機能分化に理解を示す」とした上で、厚労省が提示した大病院での患者負担案について③案を支持する考えを表明した。日本医師会の松原謙二副会長は病診の機能分化ができれば、最終的には自己負担をゼロにすべきとした。

医療介護改革の推進本部を設置-厚労省

厚労省は塩崎恭久厚労相を本部長とする「医療介護改革推進本部」の設置を決め、10月10日に省内会議室で会合を開き、医療介護の推進について話し合った。同本部は、人口の減少や超高齢社会に対応した国民生活の安心の基盤づくりとして、地域包括システムの構築を進めるとともに、医療保険制度の安定化を図るために設置されたもの。

就寝時の義歯装着 肺炎の罹患2.3倍に

85歳以上の高齢者が義歯を装着したまま就寝すると、肺炎に罹患するリスクが2.3倍になる。日本大学歯学部の飯沼利光講師(歯科補綴学第一講座)と慶應義塾大学医学部の新井康通講師(百寿医療センター)が7日に論文発表(「J Dent Res」Oct.7,2014)した。

患者申出療養制度 安全性求める声相次ぐ

中医協は10月22日の総会で、患者申出療養制度について審議した。厚労省は会議の席上、同制度の運用に関わる論点案を提示し、診療側、支払側の双方から十分な安全性の担保を求める声が上がった。審議で診療側、支払側の委員から原則6週間以内に判断を下すことについて「6週間よりも安全性、有効性を優先してほしい」、持ち回り審議についても「審議過程が見えなくなるのでやめてほしい」などの意見が挙がった。

医療費適正化の施策巡り、現金給付案に異論-社保審部会

厚労省は、医療費適正化政策の一環として、保険者が保健事業の中で何かの基準を設けてそれを満たした場合に現金給付する案を10月15日の社会保障審議会医療保険部会に提示した。しかし、委員からは「治療が必要にもかかわらず受診を躊躇する」など慎重論が相次いだ。政府が6月に閣議決定した日本再興戦略改訂2014では、保険者が保健事業の一環で一定の基準を満たした加入者へのヘルスケアポイントの付与や現金給付などができるよう取り組みを進めると明記している。

小川WHO歯科医官が講演「NCDに対応する口腔保健戦略を」

今後の国際口腔保健において、日本の果たすべき役割は非常に大きく、特に非感染性疾患(NCD)への対応を視野に入れた戦略の積極的な発信が求められる-。世界保健機関(WHO)の国際口腔保健部歯科医官の小川祐司氏は、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷で10月21日に開かれた深井保健科学研究所主催の講演会で訴えた。

フッ化物洗口が100万人超える

集団応用フッ化物洗口を実施している自治体は915市町村で、全国の53%を占めることが、「我が国における施設での集団応用フッ化物洗口調査」の2014年速報値で分かった。14年10月23日現在、歯科口腔保健推進条例を施行している1道1府39県では、条例の中にフッ化物応用の条文記載があるのは30道府県(そのうちフッ化物洗口条文記載:12道府県)で、直近2年間の増加人数の92%をこの30道府県が占めていた。

電子レセプト請求移行 猶予期限まで残り5カ月

電子レセプト請求の義務化の猶予が来年3月31日に終了する。猶予期限まで半年を切り、厚生労働省、審査支払機関などがスムーズな移行のための準備を医療機関に呼びかけており、レセコンメーカーや歯科ディーラーも移行をサポートしている。デジタル歯科医療ツールのメーカーらで構成される日本歯科コンピュータ協会(森田晴夫会長)の大倉慈理事が10月11日、横浜市で開かれたワールドデンタルショーで「電子レセプトの現状と今後」と題し、電子レセプト請求の普及状況や、電子レセ請求に必要な準備項目などを解説した。

韓国の審査支払システムを紹介-支払基金

社会保険診療報酬支払基金(河内山哲朗理事長)は記者懇談会を10月20日に開き、日本の診療報酬における審査支払の在り方を検討する参考のために進めている海外の情勢調査の保険制度、審査支払システムについて紹介した。調査対象は韓国、ドイツ、フランス、オランダで、報告を担当した松原徳和経営企画部長によれば、「今回紹介した韓国は、日本と同様に皆保険制度を採用し、民間病院主体の提供体制であることから、比較しやすい国の一つ」という。

ホームレスへの支援に協力要請-英国・支援団体

ホームレスの口腔健康状態の改善に、歯科医療従事者の参加が重要な意義を持つ。英国で、貧しい人々への支援を行っているThe Queen’s Nursing Institute(QNI)は、歯科医療従事者に対して、ホームレスの健康の維持、改善に関わる国家的な研究、保健事業であるホームレス・ケア・ネットワークへの参加を呼びかけている。

ITIがオンラインで生涯学習

インプラント歯学・関連領域の発展を目指す学術組織ITI(=International Team for Implantology、本部・スイスバーゼル)は、会員・非会員を問わずにインプラント歯学を体系的に生涯学習できるオンライン教育サービスの提供を開始した。パソコンだけでなくiPadやiPhoneでも利用できるため、いつでもどこでも世界の最新講義が受けられる。23日には、東京都千代田区の帝国ホテルでプレス発表会を開き、ITIコミュニケーションオフィサーの佐藤孝弘氏が同サービス「ITIオンライン・アカデミー」の概要を説明した。

災害対策など推進 包括連携協定を締結-鶴見大と横浜市歯

鶴見大学・同大短期大学部(伊藤克子学長)と横浜市歯科医師会(杉山紀子会長)は、災害対策を始め、医療や保健、福祉、生涯学習、人材育成などを推進して、地域社会に貢献するための包括連携協定を締結した。10月23日には、横浜市の同大会館で調印式が行われた。協定は、これまで両者が協働してきた相互連携の強化を図るとともに、包括的な分野でそれぞれの社会的役割、機能、資源等の有効活用を推進するのが目的。

医療・介護分野で産学連携-九歯大と地元企業ら

九州歯科大学(西原達次理事長)は、医療・介護分野の産学連携を推進するため、介護事業を手掛けるウチヤマホールディングス(内山文治社長)と北九州産業学術推進機構(=FAIS、國武豊喜理事長)と連携協力協定を締結した。10月20日に北九州市の同大で締結式を行った。

新機軸を模索-日本矯正歯科学会学術大会

日本矯正歯科学会(石川博之理事長)は10月20~22日、千葉の幕張メッセで第73回学術大会を開いた。メーンテーマは「矯正歯科の新機軸を捉える」。保険適用となった矯正用アンカースクリューに焦点を当てたセッションや第5回日韓ジョイントミーティングも行われ、国内外から注目を集めた。

厚労省・田口氏が診療報酬で「機能評価が大事」と発言

日本矯正歯科学会学術大会の10月22日のJOSフォーラムで、厚労省保険局医療課歯科医療管理官の田口円裕氏は、疾病治療重視から機能を評価する診療報酬体系へシフトしていく必要性に触れた上で、自費のイメージが強い矯正歯科も機能的側面を考慮し、自費と保険の住み分けを検討する必要が出てくる可能性を示唆した。

薬事功労大臣表彰 歯科関係の受賞者も出席

平成26年度薬事功労者厚生労働大臣表彰の表彰式が10月23日、東京都千代田区の厚生労働省講堂で行われた。歯科関係者ら4人を含む、薬剤師会や医薬品製造業、医療機器製造業、薬種商販売業・医薬品登録販売業の関係者ら90人が受賞。受賞者を代表とする10人が神田裕二医薬食品局長から表彰状および記念品が授与された。表彰式に出席した歯科関係の受賞者は、写真左から現・大東京歯科用品商協同組合理事長の小越敏、現・近畿歯科用品商協同組合兵庫県支部支部長の有本清隆、現・熊本県歯科用品商組合組合長の黒田雅明の3氏で、元・北海道歯科用品商協同組合理事長の三浦政雄氏は欠席した。