日本歯科新聞 | 2015年3月24日付
日本臨床矯正歯科医会の会員調査 トラブル増加傾向
十分な診断を行わずに無理な「急速拡大」や「非抜歯治療」、安易な「床矯正」を行いトラブルを起こすケースが増加傾向にある-。全会員が日本矯正歯科学会の認定医を取得している日本臨床矯正歯科医会(富永雪穂会長)による会員調査で明らかになった。同会が17日に発表したもので、検査・診断や、治療技術、設備や人員などの診療態勢が不十分なまま矯正治療を行いトラブルを招いている現状に警鐘を鳴らした。
第108回歯科医師国家試験 合格者は2,003人
厚労省は3月18日、第108回歯科医師国家試験合格者を発表した。合格者は2,003人で合格率63.8%と、前年に比べ合格率は0.5ポイント増加したが、合格者は22人減少した。試験が年1回になった昭和61年以降では過去最低の合格者数で合格率は過去2番目に低く、2年連続63%台となった。
FDIがタスクチーム 高齢者の口腔保健
世界歯科連盟(FDI)は、高齢者の口腔保健タスクチームを4月に発足すると発表した。日本歯科医師会ら主催の「世界会議2015」終了後の3月15日の会見で明らかにしたもので、タスクチームには日歯の中島信也常務理事、佐藤徹常務理事を始め、深井穫博理事、日本以外の3カ国からメンバーが入る。また、歯科関連企業のジーシーがタスクチームのスポンサーとなる。
医療事故調査制度 運用規定で報告書
今年10月から施行する医療事故調査制度のスムーズな運用を図るため、厚労省の検討会は、事故の定義や遺族への説明内容などを明記した報告書を3月20日に公表した。医療に起因または疑われる死亡の定義は、診療、検査等(経過観察含む)、注射や処置、麻酔などの治療(経過観察含む)とした。最後まで意見調整が続いていた院内調査結果の遺族への説明は「調査の目的・結果について、遺族が希望する方法 で説明するよう努めなければならない」とした。同省では5月上旬にも省令および通知を発出し、第三者機関を公募する。
日歯連盟新会長に高橋英登氏
日本歯科医師連盟(髙木幹正会長)は3月20日、第124回評議員会を東京・市谷の歯科医師会館で開いた。6月で任期満了になる役員改選では、新会長に現副会長の高橋英登氏、監事に神奈川の中村昌人、長野の滝澤隆、大阪の川野敏樹の3氏を選出。評議員会後の会見で高橋新会長は「若い歯科医師が連盟活動に参画してもらえるよう、クリーンな組織を目指す」と抱負を語った。
介護改定意見パブコメ提出-保団連
全国保険医団体連合会(住江憲勇会長)は、厚労省が3月11日まで募集している「平成27年度介護報酬改定に伴う関係告示の一部改正等に関する意見」についてのパブリックコメントを9日に提出。改定実施を6月1日に延ばすことを始め、11項目について意見、要望している。
日歯会員有功章 沖縄の林氏ら5人受賞
平成26年度の日本歯科医師会会員有功章は、授賞規程第4条第1項第一号該当で沖縄の林昭治(82歳)と東京の朝比奈敏行(89歳)の両氏、授賞規程第4条第1項第三号該当で和歌山の中谷讓二(68歳)、香川の平田正和(64歳)、神奈川の菅野博幸(87歳)の3氏が受賞した。
26年12月末の歯科診療所 6万8,839施設
厚労省の施設動態調査による平成26年12月末現在の歯科診療所数は全国で6万8,839施設で、前月よりも32減った。施設は東京の5など全国11都道府県で17増えたが、愛知、兵庫の6、埼玉の4、神奈川、新潟、広島の3など、24府県で49施設減少した。開設者別歯科診療所数の個人は対前年同月比で371減、医療法人は489増。
ルワンダが国家でう蝕予防5カ年計画
アフリカ・ルワンダでは、う蝕予防に向けた5カ年計画での国家戦略を策定し、対応を進めている。同国では、紛争が長引いたこともあり歯科疾患の実態が把握されていないが、政府では、実態把握を進めるとともに、人口の75%以上を目標に健康保険加入を目指している。
シカゴミッドウィンターミーティングでグレーマーケットを議論
歯科器材の通販市場が古くからあるアメリカで、第三国を通じて正規ルートとは別に輸入される、いわゆるグレーマーケットの問題が2月25日にシカゴで開催された第150回ミッドウィンターミーティング(シカゴ歯科医師会主催)のシンポジウム「2015 Future Trends Forum:The Dilemma and Impact of Gray Market Product Sales」で議論された。グレーマーケットは、日本での「並行輸入」に近い概念といえる。日本では、アメリカほどグレーマーケット市場が拡大していないものの、中国や韓国、アメリカなどのグレーマーケットの通販を利用する歯科医師が出てきているのも事実で、今後、これらへの規制を行政、業界団体としてどのように進めていくのかが注目される。
世界会議2015 24カ国が参加
WHOやFDI関係者ら世界各国の歯科関係者が一堂に会した「世界会議2015」が東京・有楽町の東京国際フォーラムで3月13~15日に開かれた。主催は日本歯科医師会、日本歯科医学会、8020推進財団、日本歯科商工協会。主催者発表で参加者は1,800人。開会特別講演では世界保健機関(WHO)生活習慣病予防部長のDouglas W. Bettcher氏が「21世紀における生活習慣病予防とコントロールーWHOの戦略」で講演した他、超高齢社会における歯科医療の課題や歯科医療・口腔保健の展開と健康政策、新興国の課題と取り組みについて話し合い、最終日にそれまでの議論を踏まえた「東京宣言」を全会一致で採択した。
エビデンス集 日歯が世界会議で公表
日本歯科医師会(大久保満男会長)は、歯の保存状況・咀嚼・口腔疾患と平均寿命などの調査・研究をまとめた冊子「健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス」を世界会議2015で公表した。高齢化が進む中、歯科医療・口腔保健が健康長寿の実現に寄与するためには、明確なエビデンスの蓄積が必要との観点から作成されたもの。
山中商工協会会長「デンタパック」を紹介-世界会議
臨産学官連携で開発した訪問歯科診療用器材パッケージ「DENTAPAC KOKORO」は経済産業省から高い評価を受け、成功プロジェクトの一つとして認められている-。「世界会議2015」の講演で、日本歯科商工協会会長の山中通三氏が発言したもの。同器材パッケージは経産省委託の医工連携事業化推進事業として日本歯科医師会、日本歯科医学会、商工協会の3者が協同で開発した製品。
東大・飯島氏「フレイル」捉え介護予防
東京大学高齢社会総合研究機構准教授の飯島勝矢氏は、「虚弱・サルコペニア予防における医科歯科連携の重要性―高齢者の食力を維持・向上するために」と題して世界会議2015で講演した。
南ア・ウェスタンケープ大と協定-明海大と朝日大
明海大学(安井利一学長)と朝日大学(大友克之学長)は、南アフリカ共和国のウェスタンケープ大学と歯学部学術交流協定を締結した。同国と日本での歯学部間の協定は初めて。明海・朝日大学は、歯科医学分野の教育・研究に関する交流や、若い世代の友好関係の構築を推進し、グローバル化をけん引したいとしている。
IADR 日本からは2氏が受賞
国際歯科医学会(IADR)は3月11~14日、年次総会を開いた。同会では、各分野で優れた業績を挙げた研究者を表彰。日本からは、岡山大学歯学部の滝川正春先端領域研究センター長と、大阪大学大学院歯学研究科の池邉一典准教授が受賞した。滝川氏は、軟骨組織に関する生物学の解明に顕著な業績があり、IADRで新たな研究分野を開拓してきたとして「口腔生物学賞」を、池邉氏は咀嚼障害やドライマウスなど幅広い領域での高齢者歯科学における疫学・臨床的な研究が評価され「高齢者歯科学賞」に選ばれている。
線虫使い研究 尿でがんを発見-九大
九州大学大学院の研究グループは、線虫の嗅覚を用いて、がんの有無を尿から識別できるとの研究成果を発表した。同技術が実用化できれば、尿1滴で様々な早期がんを短時間かつ安価、高精度に検出できるとして注目を集めている。米国オンライン科学誌「PLOS ONE」(3月11日)が掲載した。
第36回ケルン国際デンタルショー開催
2年に1度の世界最大の国際デンタルショーIDSが3月10~14日、ドイツ・ケルンで開かれた。デジタルデンティストリーの未来形を中心に意欲的な展示が目立った会場では、先進諸国だけでなく、ブラジル、ロシア、中国、韓国、パキスタンなどの国別ブースにも注目が集まった。