日本歯科新聞 | 2017年5月30日付
認知症の要介護者の口腔ケア、評価求める声相次ぐ─社保審介護給付分科会
平成30年度の介護報酬改定に向けて、厚労省は24日に開いた社会保障審議会介護給付費分科会で、認知症を抱える要介護者の口腔内の状況について、う蝕等の罹患率が多い傾向にあるデータを示し、口腔機能管理の在り方の議論を求めた。日本歯科医師会常務理事の髙野直久委員は、口腔に問題があるにもかかわらず見過ごされているケースがあるのを指摘し、「かかりつけ歯科医と協力歯科医にできるだけ早い時期から情報をつなげ、必要な歯科医療や口腔衛生管理を提供する方策を検討してほしい」と述べた。また、介護関係の委員からはグループホームにおける口腔ケアの積極的な取り組みの推進を求める声が相次いだ。
「歯科の充実」を提案 経済財政諮問会議
首相の諮問機関の経済財政諮問会議の民間議員4人が「生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔管理の推進など歯科保健医療の充実に取り組むべき」との考えを提案した。23日に開かれた同会議で、伊藤元重(学習院大学国際社会科学部教授)、榊原定征(東レ相談役最高顧問)、高橋進(日本総合研究所理事長)、新浪剛史(サントリーホールディングス代表取締役社長)の4氏が提案したもの。歯科関連の話題が挙がるのは少なく、来年度に予定されている診療報酬・介護報酬改定に向けて大きな弾みになりそうだ。
厚労省の歯科医資質向上検討会、今秋にも中間報告─歯科保健医療ビジョン明記へ
厚労省の歯科医師の資質向上等に関する検討会の4回目の会合が22日に開かれ、今後の議論の進め方を審議し、過去の審議経過などを踏まえて、今秋をめどに歯科保健医療ビジョンを盛り込んだ検討会の中間報告の取りまとめを確認した。そしてビジョンには小児期、成人期、高齢期における歯科需要や地域包括ケアシステムにおける歯科診療所・病院歯科の役割、かかりつけ歯科医の役割・機能などを明記する予定。
堀日歯会長、多職種連携訴える─自民党の厚生労働部会で
自民党政策調査会厚生労働部会は17日、都内の自民党本部で、地域包括ケアにおける多職種連携の在り方について、日本医師会や日本歯科医師会など6団体からのヒアリングを実施した。日歯からは堀憲郎会長と髙野直久常務理事が出席した。
堀会長は、歯科健診が学童期まで義務化されているものの、特定健診、後期高齢者歯科健診等は任意のため、義務化を要望するとともに、任意のままでも取り組みが進むよう求めた。
岩手県歯が創立100周年
岩手県歯科医師会の創立100周年記念式典・祝賀会が盛岡市内の盛岡グランドホテルで20日に開かれた。
岩手県歯は大正6年に創立、昭和5年に夜間無料診療所開設、46年には無歯科医師地区を中心とした学校歯科巡回指導車「けんこう」号の運行を開始。平成23年の東日本大震災では会員も甚大な被害を受ける中、犠牲者の身元確認作業や避難所の対応などを行い、現在も仮設住宅等を定期的に巡回するなど一貫して県民の口腔の健康の維持・向上に努めている。
熊本県歯が創立110周年
熊本県歯科医師会(浦田健二会長)の創立110周年の記念式典・祝賀会が、熊本市のホテル日航熊本で20日に行われ、県内の行政、国会議員、県議会議員、歯科医療や医療関係者をはじめ300人以上が出席した。
なお、式典に先立ち、東京歯科大学短期大学の石井拓男学長による記念講演会「なぜ今 医科歯科連携が求められるのか?その源は幕末にあり」が行われた。
日歯、受動喫煙防止の強化求め署名運動
日本歯科医師会(堀憲郎会長)は、受動喫煙防止対策の強化・実現のための署名運動を実施する。署名は6月28日必着。5月25日に開かれた日歯定例会見で発表した。
日歯が国民向けシンポで「口腔健康管理」をPR
日本歯科医師会(堀憲郎会長)は、口腔機能管理、口腔衛生管理と口腔ケアの三つを示す「口腔健康管理」に関するシンポジウムを東京・市谷の歯科医師会館で20日に開いた。「いつまでも口から食べるための“健口づくり”」をテーマに、生活を支える歯科医療の在り方や歯・咬合維持と栄養素の摂取、認知機能の関係性、心身の自立を妨げる身体・心理・社会的フレイル等について大阪大学大学院准教授の池邉一典氏と東京都大田区開業の細野純氏、全国在宅療養支援診療所連絡会会長で医師の新田國夫氏が国民向けに講演した。
29年3月の歯科診療所数は68,913施設
厚労省の施設動態調査による平成29年3月末現在の歯科診療所数は全国で68,913施設で、前月よりも39増加した。前年同月比の全国の歯科診療所数の動向では、110施設増加。開設者別歯科診療所数の個人は対前年同月比で395減、医療法人は505増。
ヘルスデータベースの現状報告 日医が国際会議
日本医師会(横倉義武会長)は、東京都文京区の日医会館で「各国におけるヘルスデータベースの現状と課題に関する国際会議─セキュリティ・個人情報保護・データ利活用」を12日に開催した。開会あいさつで横倉会長は、世界医師会(WMA)が昨年10月に修正採択した「ヘルスデータベースとバイオバンクにおける倫理的考察に関するWMA宣言」(台北宣言)に触れ、ヘルスデータベースを利用した研究が健康、疾病の理解、予防、診断、治療的介入での有効性、効率性、安全性、質の継続的向上を加速する可能性があるとの理解の下、これを用いた研究を医師がする際には、国際規範のみならず、自国の倫理的、法的規制、規範と基準を考慮すべきとしていると指摘。同会議の意義について、アメリカ、韓国、台湾、日本の専門家が各国の現状を示し、ヘルスデータベースやバイオバンクに関する現状の課題や今後の方向性を明らかにするものとした。
平成29年1月の歯科医療費
社保、件数と点数ともに増加
社会保険診療報酬支払基金による平成29年1月診療分の総計確定件数は8,913万4千件、点数1,379億4,681万8千点で前年同月に比べ、件数は10.6、点数は3.8%増加した。歯科は1,083万件、123億4,030万7千点で、前年同月に比べ、件数は5.1%、点数は5.2%増加した。歯科の件数は21年6月に増加に転じ、東日本大震災が発生した23年3月に一度減少したが、それ以降は増加している。
国保、市町村の金額は3.1%減少
国保中央会がまとめた平成29年1月診療分の総医療費は市町村国保と国保組合、後期高齢者を合わせて2兆1,986億円で、うち後期高齢者分は1兆2,782億円だった。歯科医療費は市町村が574億円で、対前年同月比で3.1%減。組合は42億円で1.0%減。後期高齢者は420億円で7.9%増加した。
厚労省、国保の保健事業で通知─歯科保健指導なども周知
厚労省は平成29年度の国民健康保険の保健事業に対する助成について、都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長に通知。助成事業の効果的な実施に関わる指導および周知を求めた。
「有意義な情報交換を」 器械・材料組合が合同懇親会
日本歯科器械工業協同組合(吉川秀隆理事長)と日本歯科材料工業協同組合(中尾潔貴理事長)は23日、合同懇親会を東京・新橋の第一ホテル東京で開いた。合同懇親会に先立ち各組合の通常総会と合同講演会も開かれ、器械組合の総会では役員改選が行われ、吉川理事長は懇親会の席で全役員を紹介した。
高級感ある口腔ケア用品、ジーシーオルソリーが6月1日から発売
高級感あふれるデザイン性と新しい素材・成分を兼ね備えたスイスの口腔ケア用品ブランド「Swiss Smile(スイススマイル)」の製品を、ジーシーオルソリー(本社・東京都板橋区、高江洲義郎社長)が6月1日に発売する―。18日に東京都港区の六本木ヒルズ森タワーで開かれた日本発売記念発表会で紹介された。
愛知県歯連盟がデンタルミーティング
愛知県歯科医師連盟(渡邉正臣会長)は、デンタルミーティングを名古屋市の名古屋東急ホテルで14日に開いた。県選出自民党国会議員17人、同党県議会議員47人をはじめ、日歯連盟役員、県内の各地区連盟役員、県歯科医師会役員、県歯科医師連盟役員らが出席した。
「共謀罪」法案の採決に抗議、保団連
全国保険医団体連合会は、23日の衆議院本会議で「共謀罪」法案が自公維の賛成多数での可決されたことについて、医療現場を萎縮するとした同法の採決に抗議するとの文書を同日に発表。安倍晋三内閣総理大臣、金田勝年法務大臣へ提出した。
医療現場に捜査機関への介入が容易になれば医療現場の萎縮と混乱をまねきかねず、医師と患者の信頼関係を前提に成立している医療現場が萎縮し必要な医療提供が困難になるとし、全力を尽くして廃案にすると強調している。