日本歯科新聞 | 2017年9月5日付
歯科保健医療ビジョン素案を厚労省が検討会に提示
地域包括ケアシステムにおける歯科診療所の役割について「外来診療に加えて、病院や在宅等における訪問診療が求められており、歯科診療所の実態に合わせて、適宜、他の歯科診療所との連携を図るなどの役割分担を図る」と厚労省が「歯科保健医療ビジョン」の素案で明記した。8月31日に開いた歯科医師の資質向上等に関する検討会に提示したもので、同省は秋ごろをめどに素案内容を中間報告として取りまとめたい意向。その後は、ビジョンなどを基に歯科医師需給のさらなる推計に向けて検討していく予定。
全国各地で防災イベント─歯科の役割と他職種連携を再考
9月1日の「防災の日」を含む、8月30日から9月5日の「防災週間」には、全国各地で関連イベントが開かれる。3日の東京都・調布市合同総合防災訓練では、「『自助・共助』と『連携』」を統一テーマに、マグニチュード7.3の多摩直下地震の被害想定に基づいて、住民による避難訓練、自助・共助訓練や、救出救助活動等訓練、緊急支援物資搬送訓練などが実施され、歯科医療従事者も「検視・検案・身元確認訓練」および「医療救護班活動訓練」に参加し、他の職種との連携強化に努めた。
歯科医療費の地域差指数、格差は1.84倍に
市町村国保と後期高齢者制度を合わせた1人当たり年齢調整後の歯科医療費で最も高いのは大阪の3万6千円、最も低いのは青森の2万円で、地域差指数は大阪が1.334、青森が0.727で格差は1.84倍だった。厚労省が公表した「平成27年度医療費の地域差分析」で分かったもので、最大県、最小県、格差とも前年度と変わらない。
施設基準の緩和求める─近北地区歯役員合同連絡協が日歯・日歯連盟に要望書
平成29年度近畿北陸地区歯科医師会・歯科医師連盟役員合同連絡協議会が8月26日に京都市のウェスティン都ホテル京都で開かれた。協議での緊急動議が上がり、日本歯科医師会、日本歯科医師連盟に次期診療報酬改定で初・再診料の大幅引き上げと施設基準の緩和など4項目の対応を求める要望書の提出を決めた。
愛媛県歯が創立110周年祝う
愛媛県歯科医師会(是澤惠三会長)は、創立110周年記念式典・記念講演・祝賀会を8月27日に松山市の松山全日空ホテルで開いた。
式典で式辞を述べた是澤会長は、明治40年に12人の会員で発足してから現在に至るまで県内の医療の一翼を担い、いろいろな活動により県民の健康増進と口腔衛生思想の普及向上に寄与したと述べ、「発展の礎を築いてきた歴代会長、役員をはじめ先輩会員の並々ならぬ努力によるもの」と感謝の意を示した。そして「超高齢社会を迎え、歯科医療の役割が重要性を増す中、さらなる発展に向け次代に引き継ぐのがわれわれの果たすべき責務」とした上で「創立110周年を節目に、会員の皆様と共に手を携え、県民の健康と幸せを願い、歯科保健医療の推進に貢献していきたい」と結んだ。
訃報・佐藤徹氏 元日歯常務理事
元日本歯科医師会常務理事の佐藤徹(さとう・とおる)氏は8月30日に死去した。59歳。佐藤氏は昭和33年5月24日生まれ。松本歯科大学卒業。平成15年に新潟県歯理事に就任、21年に同県歯常務理事、25年6月に日歯常務理事となり、27年6月まで務めた。
7カ国会議で諸問題協議─FDIで日歯代表団
スペインのマドリードで開催されている第105回FDI世界歯科大会に出席の日本歯科医師会代表団(団長・堀憲郎日歯会長)は、8月25日(現地時間)からの公式行事に臨んだ。日歯がホームページに公表したプレスリリースで明らかになったもの。
呼気で病気が分かるか?─韓国で測定アプリ開発
糖尿病など病気の徴候となる病的な呼気を検出して、早期診断に役立てようという技術が韓国で開発された。韓国先端科学技術研究所(KAIST)のIl-Doo Kim教授らの研究グループが発表したもの。タンパクに包まれたナノキャタリストを応用したセンサーにより、肺からの呼気の成分を分析、さまざまな病気を侵襲なく、低コストで測定するシステム。
29年6月末歯科診療所は6万8,933施設
厚労省の施設動態調査による平成29年6月末現在の歯科診療所数は全国で6万8,933施設で、前月よりも16増加した。前年同月比の全国の歯科診療所数の動向では、58施設増加。開設者別歯科診療所数の個人は対前年同月比で410減、医療法人は472増。
小児科や内科などを対象に過疎地で相続税優遇─30年度税制改正要望
厚労省は8月25日に平成30年度税制改正要望事項を発表した。医療関係では、過疎地などでの医療機能を確保するために小児科や内科など個人医療機関を対象にした相続税の猶予等や社会保険診療報酬に係る非課税措置の存続、医療法人の社会保険診療報酬以外に係る軽減措置の存続などを要望した。
市町村国保の保険料の格差は3.7倍、最高18万7千円
市町村国民健康保険(市町村国保)の標準化保険料で最も高いのは北海道天塩町の18万7,569円、最小は東京都三宅村の5万922円で3.7倍の格差があった。厚労省の調べで分かったもので、都道府県別で見ると最大は徳島の14万4,183円、最小は東京の9万5,054円となった。
歯髄の創傷治癒に新機序─新潟大の大倉助教らグループが解明
新潟大学医歯学総合病院の大倉直人助教らのグループが、歯髄の創傷治癒を促す新たなメカニズムを解明した。炎症や痛みに関与する生体内物質プロスタグランジンを輸送するトランスポーター(PGT)と特異的に結合する受容体(EP2)が象牙芽細胞や血管に存在し、歯髄創傷治癒期に認められる修復象牙質形成に大きく寄与しているというもので、むし歯の新規治療の開発に期待がかかる。同研究成果はネイチャー・パブリッシング・グループの英国科学誌『Scientific Reports』(7月31日)に公表されている。
防災展示会 オフィス防災EXPOで口腔ケア用品も展示
東日本大震災、熊本地震と続く震災があり、国や自治体のみならず歯科を含む医療機関や民間企業レベルでも防災対策が見直され始めている―。7月26~28日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた「第11回オフィス防災EXPO」では口腔ケア用品やウェットティッシュ、使い捨て携帯型トイレ、保存食・飲料など、さまざまな災害対策製品が紹介され、100社以上が出展した。主催はリード エグジビジョン ジャパン。企業や自治体、学校等の総務・防災担当の関係者ら延べ4万5千人以上が来場した。
日歯会長選挙の検討臨時委設置
日本歯科医師会(堀憲郎会長)は、8月23日の理事会後の会見で「日歯会長選挙のあり方検討臨時委員会」を設置したと発表した。日歯会長選挙は、選挙人制度を導入して10年以上が経過している。近年、全会員に選挙権の付与を求める意見が出ているのを踏まえて、委員会では会長選挙の在り方を検証する。
「予算の確保に向け努力する」高橋日歯連盟会長
日本歯科医師連盟の高橋英登会長は、来年度の厚労省の歯科関連予算の確保について「骨太の方針の歯科に関する事項を具現化する予算が確保できるよう努力していきたい」との考えを8月24日の理事会後の定例記者会見で述べた。
介護報酬で自立支援の方策議論─社保審分科会
厚労省は、平成30年度介護報酬改定に向けて社会保障審議会介護給付費分科会を8月23日に開いた。同日の会合では、介護のサービスの質の評価や自立支援に向けた事業者へのインセンティブを審議した。