日本歯科新聞 | 2021年9月14日付
令和2年度概算歯科医療費 3兆52億円
令和2年度概算医療費で歯科は3兆52億円と、前年に比べ234億円、0.8%減少した。対前年度比が減少するのは平成21年度以来。診療種類別の前年度比は入院3.4%減、入院外4.4%減、調剤2.7%減と新型コロナウイルスの影響が浮き彫りとなる結果になった。日本歯科医師会の堀憲郎会長は9日の代議員会で、歯科用金属材料の高騰の影響が年間2.3%ほどあるとして、歯科のダメージが他と同程度となる点を強調した。
金パラ問題で日歯「リアルタイム改定など必要」
金銀パラジウム合金の価格高騰問題を解決するには、ICTを活用して実売価格にタイムラグなく連動するリアルタイムの公定価格改定や、国が一定価格で材料を売る制度などが必要—。日本歯科医師会の堀憲郎会長は、9日の第196回臨時代議員会で考え方を示し、実現については「(規則改正等)課題もあり時間がかかるため、抜本的な見直しも視野に入れながら、現行制度を極力、乖離感の少ないものに求めていこうとしている」と述べた。
日歯代議員会議長に阿部氏、副議長に村山氏が就任
日本歯科医師会(堀憲郎会長)の第196回臨時代議員会が9日、東京都千代田区の歯科医師会館で開かれ、議長に岐阜県の阿部義和氏、副議長に群馬県の村山利之氏が選出された。決議では予算決算特別委員会委員と議事運営特別委員会委員も承認。任期はいずれも同日から令和5年6月30日まで。
日歯が米国歯とコロナで意見交換
日本歯科医師会(堀 憲郎会長)と米国歯科医師会(Daniel Klemmedson会長)は1日、日米両国での新型コロナウイルス感染症への対応や状況などについて意見交換するオンライン会議を開いた。日歯からは堀会長、佐藤保副会長、尾松素樹常務理事、冨田 滋理事、佐藤真奈美理事ら8人、米国歯からはKlemmedson会長、Chad Gehani前会長ら12人が出席。米国でも感染リスクが高い職業とされながらも、他の医療専門家の感染率をはるかに下回っている現状などの説明があった。
インタビュー·厚労省 歯科保健課長に聞く「歯科の役割と課題」
超高齢社会において、健康寿命の延伸は国の施策として外せないものとなっており、歯科保健医療が果たす役割は大きいと認められつつある。一方で、歯科医療提供体制の在り方、歯科医師の需給問題、歯科衛生士·歯科技工士の確保の問題など今後議論を詰めなくてはいけない課題も多い。7月に厚生労働省医政局歯科保健課課長に就任した小椋正之氏に社会における歯科の役割や、歯科界の課題、目指す方向性などについて聞いた。
8020運動をアジア諸国に紹介—日歯·8020財団
日本歯科医師会の佐藤保副会長(8020推進財団副理事長)と日本歯科総合研究機構の恒石美登里主任研究員(同理事)は、日本国際交流センターと東アジア·アセアン経済研究センター主催のウェビナーに動画出演し、8020運動の背景や変遷、成果などについて報告し、アジア諸国と情報共有を行った。
著者インタビュー·『「ずっと元気」をかなえる歯科患者学』
歯科治療に対する患者の想いをこれほどまでに的確に表現した本に出合ったのは初めてだ。それはノンフィクション作家の高見澤たか子氏のあくまで患者さんの立場に立った姿勢が大きいといえる。だからこそ、その質問に答える歯科医師の高橋英登氏や遠山佳之氏、そして歯科衛生士の筋野真紀氏の説明は納得と同意が得られるものとなっている。本書『「ずっと元気」をかなえる歯科患者学』(クインテッセンス出版)の副題「知りたいことあなたにかわって歯医者さんに聞きました」は妙を得ていて、ここに書かれている患者さんの「知りたいこと」を読むことで、歯科医療従事者も歯科医療とは何かを熟考させられるのではないだろうか。高見澤氏と高橋氏に執筆のきっかけや出版への想いなどを聞いた。
インタビュー·「注目の『再生歯内療法』とは」
歯髄を失うと、免疫の低下や抜歯に至る原因となり、患者のQOLの低下につながる。これまでの歯内療法では、将来的な抜歯のリスク回避は困難だったが、ここ近年で、根管の成長を促すための「再生歯内療法」が注目を浴びている。日本歯内療法学会(阿南壽理事長)の細矢哲康国内渉外委員会副委員長(鶴見大学歯学部教授)に再生歯内療法の概要や可能性について聞いた。
イノベーション·ジャパンに歯科関係の研究成果も
産学マッチングイベント「イノベーション·ジャパン2021~大学見本市Online」が8月23日から9月17日まで開催されている。全国の大学等の技術シーズを一堂に集め、企業とのマッチングにより研究成果の社会還元の促進を図るもので、「口腔細菌叢の恒常性を保つ事による疾患予防」や「歯周病診断用光学式検知装置」など歯科に関する研究成果も見られたので紹介する。
日本スポーツ歯科医学会学術大会事前インタビュー
日本スポーツ歯科医学会の第32回総会·学術大会が『Proactive Safety and Enjoy the Excitement of Sports!!(積極的な安全対策でスポーツの感動·興奮を楽しみましょう!!)』をメインテーマに、9月21、22日の両日、神奈川県歯科保健総合センターなどで行われる。また23~25日の3日間は、日本歯科医学会との併催で学術大会がオンライン開催される。同大会長の木本一成氏(神歯大)に大会の狙いや注目の企画·特別講演等のほか、東京2020オリンピック大会にアスリートコラボレーターとして参加した活動内容についても聞いた。
訪問歯科診療 提供文書の標準化目指し研究会発足
訪問歯科診療における提供文書の標準化に向けた研究会が発足した。フューチャーワークス(本社·東京都世田谷区、市川 浩社長)が、在宅医療助成勇美記念財団の助成により運営するもので、毎月、オンラインの定例会を開催し、提供文書の標準化や諸課題などについて座談会を行う。
プランメカ社 カボの2事業を買収へ
フィンランドのプランメカ社は7日、ドイツのカボデンタルシステムズ社のトリートメント事業およびインスツルメント事業を買収すると発表した。契約締結完了日は今年末を予定。
買収により、プランメカ社の製品群が補完されるとともに、技術、流通面における相乗効果を見込む。両社は引き続き独立した事業として運営される見込み。
パノラマX線のAI診断外来診療で開始—AOI国際病院
AOI国際病院(川崎市、古川良幸病院長)は、デンタルシステムズ(本社·東京都千代田区、岩室圭一社長)と研究開発している「歯科パノラマエックス線画像におけるAI診断支援システム」を利用した外来診療を、同病院の歯科口腔外科で13日に開始した。今後、協力病院として複数の歯科医院で同システムの利用を順次開始予定。