日本歯科新聞 | 2005年12月20日付
18年度診療報酬改定は3.16%引き下げで決着
政府は12月18日、平成18年度診療報酬改定について本体1.36%、薬価等1.8%、合計3.16%の引き下げを決めた。各科改定率は医科と歯科がそれぞれ1.5%、調剤0.6%引き下げる。診療報酬のマイナス改定は14年度に初めて診療報酬本体も含めて2.7%引き下げ以来2回目。引き下げ幅も本体、薬価等ともに過去最大となった。今後は、来年1月から中医協で行われる個別の診療報酬点数設定の審議が焦点となる。
日本歯科医学会次期会長に江藤氏が当選
任期満了に伴う日本歯科医学会(斎藤毅会長)の次期会長選挙が12月16日の第75回評議員会で行われ、東京医科歯科大学教授の江藤一洋氏が71票中36票を獲得し、鶴見大学歯学部教授の瀬戸?一氏を1票の僅差で破って当選した。任期は来年4月から3年間。会長選挙が行われるのは平成8年以降2回目。その他、役員は会長による指名で決められる。当選後の江藤氏は「選んでいただき光栄」と会場に謝辞を述べた上で、今後の活動に意欲を示した。
歯科医師臨床研修必修化で9割以上がマッチング
平成18年4月からスタートする歯科医師臨床研修必修化で「歯科医師臨床研修マッチング協会」は12月15日、研修希望者と研修プログラム(研修施設)を組み合わせるマッチング結果を発表した。参加者は3,648人、うち希望順位登録者3,584人でマッチング者数は3,367人と93.9%のマッチング率となった。
歯科診療所の安全、感染対策費は計約380万円‐厚労省調べ
厚労省の診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会は12月14日、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局を対象とした「医療安全に関するコスト調査」中間報告を発表した。歯科診療所の安全管理にかかわる機器、設備などの導入費用は、初期費用も含めて約150万円、感染抑制にかかわる機器、設備などの導入では滅菌器、洗浄器などに230万円を投入した。廃棄物処理、保管については10万円となった。
アスベスト使用の医薬品、医療機器で歯科4製品に使用時放出の恐れ
厚労省は12月9日、医薬品や医療機器など69社115製品にアスベスト(石綿)が使用され、うち歯科用の包帯剤と鋳造器4社4製品について通常使用時に環境への放出の可能性があるとする調査結果を発表した(詳細は同省ホームページ)。医薬品、医療機器などを製造販売する全国約8千社に、関係団体及び都道府県を通じ実施したもの。
日医禁煙推進委員会がたばこ価格の引き上げ求める
未成年者の禁煙防止対策について検討を進めていた日本医師会の禁煙推進委員会(委員長=藤森宗徳・千葉県医会長)は、取り組むべき緊急課題として、たばこ価格の大幅な引き上げの実現、たばこ自動販売機の撤去、禁煙治療の制度化などからなる「答申」をまとめた。
17年8月支払基金の歯科は件数・金額とも2.9%増
社会保険診療報酬支払基金の平成17年8月診療分は総計確定件数6,579万5千件、金額8,585億2,600万円で前年同月に比べ、件数6.0%、金額5.2%増えた。歯科は件数887万件、金額826億2,700万円で件数、金額ともに2.9%増えた。
「日中歯科医学大会」で歯科材料のBPA溶出問題を発表
環境ホルモンと歯科材料の問題について開業医の立場から研究を続けてきた千葉県八千代市開業の佐々木脩浩氏は、11月に中国・上海で開かれた「日中歯科医学大会2005」で、同問題の現状と対策について発表した。以前、歯科材料から溶出するビスフェノールA(BPA)の危険性が問題となったが、佐々木氏は10億人を超える人口を抱え、経済発展の著しい中国の歯科医療従事者に現時点での対策の必要性などを訴えた。
日技学会関東支部学術大会でジーシー毛利氏が海外技工業で講演
日本歯科技工学会関東支部(田中澄良支部長)の平成17年度総会及び学術大会が12月4日、東京・水道橋の東京歯科大学(血脇記念ホール)で開かれた。また、ジーシー専務取締役の毛利哲明氏は「海外歯科技工業の現況及び歯科材料と品質管理・製造物責任」と題し、海外市場や海外技工分野の特性、04年インプラントマーケット、世界のCAD/CAMマーケット、PL法と歯科技工業、環境への取り組みなどについて話した。
診療報酬改定‐引き下げ決定で日医が緊急会見
日本医師会の植松治雄会長は12月18日、政府が平成18年度診療報酬改定で3.16%の引き下げが決まったことを受け、厚労省内の記者クラブで会見し、「非常に不満で納得できない」との考えを示した。
大久保氏の日歯会長選必勝願い地元静岡で「支援する会」
日本歯科医師会会長選挙に立候補した大久保満男氏を「支援する会」が12月18日、静岡市内のホテルで開かれ、県内の歯科医師を中心に約200人が集まり、必勝を誓った。大久保氏は、所信表明で出馬に至った経緯などを説明した後、日歯の置かれている状況について「危機的な状況だ」との認識を示し、「日歯連盟から日歯をみると歯がゆい場面がいくつかあった」と指摘。
保団連が診療報酬引き下げを批判
全国保険医団体連合会の室生会長は12月19日、過去最高の引き下げとなった平成18年度診療報酬改定で、医療・介護の提供を阻害するものであると指摘、「これに強く反対する」との談話をまとめ、小泉首相、川崎厚生労働大臣、谷垣財務大臣に送付した。
日本歯科新聞 | 2005年12月13日付
日歯会長選立候補者3氏‐合同記者会見で井堂、大久保両氏が抱負語る
来年1月30日開票の日歯代議員含む650人の選挙人による初の日歯会長選挙の立候補届出が12月8日、締め切られ、現日歯会長の井堂孝純、元香川県歯会長の西岡忠文、現日歯連盟会長の大久保満男の3氏が立候補した。16の歯科医療関係新聞、雑誌社で構成される歯科記者会は12月12日、東京・市谷の新歯科医師会館で会長立候補者合同記者会見を開き、立候補に当たっての抱負などを聞いた。任期中の達成目標について井堂氏は「経営の安定化と良質な歯科医療の提供」、大久保氏は「歯科医療の需要の拡大」を挙げた。
学校保健統計調査でう歯被患率がトップ
児童、生徒の疾病・異常の被患状況で「むし歯(う歯)」が幼稚園から高等学校までのどの学校段階においても最も高く、次いで「裸眼視力1.0未満の者」の順となっている。文科省がこのほど発表した平成17年度の「学校保健統計調査」によるもので、むし歯の被患率は幼稚園54.4%、小学校68.2%、中学校62.7%、高等学校72.8%と高学校になるほど割合は高くなっている。
保団連が厚労省に歯科医の参画義務付けなどの要望書提出
口腔機能向上に関する介護報酬や介護予防給付について全国保険医団体連合会は12月3日、地域包括支援センターでの一次判定に歯科医師参画の義務付けや歯科衛生士必置など4項目の要望を川崎二郎厚労相に提出した。
品川区学校保健会学校歯科医会で齋藤滋氏が咀嚼の重要性を指摘
食育基本法の施行に伴い学校での食育が注目される中、東京都品川区の荏原歯科医師会(佐々木康会長)で12月1日、同区学校保健会学校歯科医部会の研修会が開かれ、NPO法人「健康情報推進機構」理事長の齋藤滋氏(元神奈川歯科大学教授)が講演し、食に不可欠な、噛むことの大切さを訴えた。齋藤氏は講演で、食育において咀嚼は重要で、噛むことは「治療から予防へシフトする流れの一つ」と位置付けた。
日大歯と同大同窓会が「佐藤会」で団結誓う
日本大学歯学部(大塚吉兵衛歯学部長)と同大同窓会(糟谷修三会長)は「第52回佐藤会」を11月13日、東京・御茶ノ水の同大大学院講堂で開いた。
関東6県集まり「関東地域各県女性歯科医の会」発足
関東地域各県の「女性歯科医の会」が集まり「関東地域各県女性歯科医の会」が発足した。各会の運営、活動内容の向上を図るため、互いの取り組みや問題などの報告、提案を行うもの。11月13日には各会の代表者が都内で懇談会を開き、今後の方向性などを話し合った。
17年9月歯科診療所数で29施設増
厚労省の施設動態調査による平成17年9月末現在の歯科診療所数は全国で6万7,112施設となり、前月より29施設増えた。
カルテ・レセプト開示、明細書発行等でシンポ
「国民は歯科医療に何を求めているのか?」をテーマに、歯科医療の質や安全と、カルテ・レセプト開示、明細書発行による情報開示を取り上げたシンポジウムが11月27日、都内で開かれた。主催は歯科医院の第三者評価を行うNPO法人歯科医療情報推進機構(=IDI、藤本孝雄理事長)。連合推薦の中医協委員で「患者本位の医療を確立する連合会」委員の勝村久司氏は、レセプトや明細書発行等による患者への情報開示が、結果的に歯科も含めた診療報酬における点数配分の矛盾、単価の不健全の是正につながることを訴えた。
次期参院選で日歯連に4氏届出
次期参議院比例代表選挙の日本歯科医師連盟(大久保満男会長)への候補者推薦届出が12月12日締切られた。候補者には広島県歯科医師連盟と中国ブロック歯科医師連盟推薦の現日歯常務理事の石井みどり、東京都歯科医師連盟推薦による現参議院議員の中原爽、中野区開業の小針秀夫、中野区議会議員の山崎芳夫の4氏が届出た(届出順)。
国民医療推進協議会が国民集会で皆保険崩壊に「断固反対」
日本医師会、日本歯科医師会の医療関係や国民の健康を守る会など38団体で組織される国民医療推進協議会(会長=植松治雄・日医会長)は12月3日、東京の日比谷公会堂で「国民皆保険制度を守る国民集会」を開き、医療制度改革での厚労省「試案」や経済財政諮問会議の意見に、「断固反対する」との決議を採択した。
「医療制度改革大綱」で日医が「プラス改定が筋」と反発
日本医師会(植松治雄会長)は政府・与党の医療改革協議会がまとめた「医療制度改革大綱」について、厚生労働省試案に内閣府からの経済的な側面を追加したもので、「国民不在の内容」との見解を12月6日の定例会見で発表した。櫻井秀也副会長は「マイナスの方向で診療報酬改定を検討、措置する」と大綱に盛り込まれていることについて「ここ2年間保険財政は黒字、賃金・物価は横ばいの状況だ」と指摘した上で「保険財政、賃金・物価の動向を踏まえてというならプラス改定にしなければならない。ミスプリントではないか」と強く反発した。
譽田裁判で捜査官が証言「200」メモの自白説明
中医協贈収賄事件で起訴されている前中医協委員、前福島県歯科医師会会長の譽田雄一郎氏の公判が12月7日、東京地検で開かれ、証人として譽田氏の取り調べを行った捜査官が出廷し、取り調べ状況などを証言した。
18年度歯科診療報酬改定の見直し提示
平成18年度歯科診療報酬改定について厚労省は、「かかりつけ歯科医初診料」の廃止も視野に入れた抜本的な見直しや歯科診療報酬上で評価されている指導管理料の大幅な見直しを中医協の診療報酬基本問題小委員会に提示した。また、小児歯科医療における休日夜間診療の充実、臨床研修必修化に伴う評価が行われようとしている。
日本歯科新聞 | 2005年12月6日付
厚労省最終報告で「アスベスト」暴露の恐れ324病院
肺がん、悪性中皮腫など健康への影響が問題となっているアスベストの病院、社会福祉施設などの公共施設の使用実態についての最終調査報告書を厚労省が11月29日、公表した。平成8年度以前に建てられた大学病院を除く全病院について調べた。対象となった病院数7,805のうちアスベスト使用状況の有無が判明したのは6,976病院で、吹付けアスベストなどがあるのは2,051病院で、措置済1,202病院、石綿などの粉じんの飛散により暴露の恐れのないのは928病院、暴露の恐れのある場所を有するのは324病院だった。
日歯改革検討委員会が広報活動充実求める最終答申
国民にとって望ましい歯科医療とその実現に向けた取り組みを検討していた日歯改革検討委員会(水野肇委員長)は11月28日、歯科医師や日歯が取り組むべき課題、さらに日歯に対して広報活動の充実を求める最終答申をまとめ井堂孝純会長に提出した。同委員会は日歯の一連の不祥事を契機に設立され、第一次答申では「日歯再生」での改革すべき点として外部監査の導入や会長選挙の変更、日歯連盟との峻別の実現を求めた。
全国歯科大学同窓会・校友会懇話会で組織離れの対応協議
第52回全国歯科大学同窓・校友会懇話会が11月19日、福島県郡山市のホテルハマツで開催された。当番校を代表してあいさつした奥羽大学歯学部同窓会の岡伸二会長は、来年4月に施行される歯科臨床研修医制度について「各研修施設は準備を行っている。今まで学生の間は大学で、卒業後は同窓会・校友会で面倒見ていたごく自然な関係も、これからは臨床研修医制度を機に、在学中から同窓会・校友会が積極的に関与していくという状況になる」と述べた。
医療の質・安全学会が設立記念シンポ
医療事故などを減らし、医療の質と安全の確保を目指す「医療の質・安全学会」(理事長・高久史麿自治医科大学学長)の設立記念シンポジウムが11月26日、東京都千代田区の経団連ホールで開かれた。同学会は医学の枠組みを超え、様々な視座と幅広い英知を集めた複合的な研究を進め、実際の医療に役立つ取り組みを推進するのが目的。
支払基金7月分で件数2.1%増
社会保険診療報酬支払基金がまとめた平成17年7月診療分の総計確定件数は6,803万1千件、金額8,538億4,900万円となり対前年同月比、件数で2.1%、金額で0.7%伸びた。歯科は件数890万件、金額845億7千万円で、件数、金額ともにそれぞれ0.8%、3.2%の減少。
国保7月分介護費で件数費用ともに増加傾向
国保中央会の「介護費等の動向」による平成17年7月サービス提供分は、件数813万件、介護費5,573億円、保険給付額4,958億円となり前年同月比で件数7.3%、介護費と保険給付額はそれぞれ6.3%増加した。件数は5月以来800万件を超えている。
再生歯科フォーラム‐再生治療早期実現で2組織
再生歯科医療の実現に向け臨床家を中心に技術研鑽と知識習得に取り組む「再生歯科フォーラム」の上田実会長は、11月20日の第4回再生歯科シンポジウムで、近くフォーラム内に2組織を立ち上げ、再生歯科医療について歯科医師の具体的な技術習得に取り組む考えのあることを明らかにした。
メインテナンスで国際シンポジウム
国際水準のメインテナンス機能を持つ歯科医院を全国に広げ、さらに世界に向けて発信できるような歯科医療環境を構築することを目的とした国際シンポジウム「メインテナンス・ルネッサンス」(主催オーラルケア、共催医歯薬出版)が11月12、13日の両日、東京都内で開催され、多数の参加者が出席した。
東京・玉川歯が診療所単位で口腔がん検診
市民対象の口腔がん検診が各地で行われる中、東京都世田谷区の玉川歯科医師会(浅野紀元会長)は会員の診療所単位で検診を実施する「口腔ガン検診キャンペーン」を行っている。口腔がん検診の多くが一定期間、指定の場所のみで行う中、会員を教育し、通年地域住民を受け入れる取り組みは珍しい。より身近な歯科医院で行うことで、検診を通じ、地域住民の口腔や歯科に対する意識を高める狙い。
診療報酬改定で「か初診」抜本的な見直しへ
厚労省は11月30日、中医協診療報酬基本問題小委員会にかかりつけ歯科医初再診料の抜本的な見直し、診療報酬上で評価されている治療計画・指導管理料などを統廃合した上で、総合的な治療管理体系に再構築するなどを柱とした平成18年度歯科診療報酬改定検討項目を提示した。また、歯科臨床研修必修化や小児歯科診療における休日夜間救急などについても評価する考えを示した。
医療制度改革大綱で診療報酬引き下げ
政府・与党の「医療改革協議会」は12月1日、平成18年度診療報酬改定を「引き下げの方向で検討、措置する」、中医協の診療側・支払側委員をそれぞれ1人削減、委員の団体推薦の廃止などを盛り込んだ「医療制度改革大綱」をまとめた。政府と与党が診療報酬の引き下げを決定したことで、今後は引き下げ幅が焦点となる。年末の政府の予算編成までぎりぎりの調整するが、大幅な引き下げは避けられない状況。中医協の診療側委員のこれまでの議論を踏まえると歯科代表委員が1人削減される可能性が高い。
中医協が診療報酬改定での審議経過了承
中医協は11月30日の総会で、平成18年度診療報酬改定の審議経過報告をまとめ、川崎二郎厚労相に提出した。審議経過報告で18年度改定の在り方について、国民皆保険制度の堅持は不可欠という基本認識は診療側、支払側ともに共通認識としながらも、診療側は、良質かつ適切な医療を安定的に提供する体制を維持するには、医業経営基盤の安定が不可欠で診療報酬財源として少なくとも3%以上の引き上げが必要とした。
日歯が診療報酬改定で要望書
日本歯科医師会(井堂孝純会長)は、平成18年度診療報酬改定についての要望書を11月29日、川崎二郎厚生労働大臣に提出した。歯科診療報酬改定の状況について、前々回(14年度)がマイナス、前回(16年度)はゼロ改定だったと指摘、「歯科医業経営は危機的状況に陥っている」とし、歯科医療サービスの質的低下は避けられないと訴えている。
社保審医療保険部会で診療報酬改定の基本方針まとまる
厚労省の社会保障審議会医療保険部会(星野進保会長)は11月25日、平成18年度診療報酬改定について「保険財政の状況、物価・賃金のマクロ経済指標の動向、全国の医療機関の収支状況を踏まえて行うべき」との基本方針を取りまとめた。