日本歯科新聞デジタル版を読む        

介護報酬改定 審議の報告案 小玉日歯常務が社保審で口腔健康管理の大切さ強調

社会保障審議会の第196回介護給付費分科会が9日、オンライン上で開かれ、「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」が示された。次回の取りまとめを目指して委員からの意見を聴取した。日本歯科医師会の小玉剛常務理事は、「自立支援·重度化防止の取組の推進」の中で口腔衛生管理体制や通所系サービス等での口腔スクリーニングなどの記述に触れ、口腔健康管理の大切さを訴えるとともに、文言の修正などを要望した。

プロバスケイベントで「GoTo歯科受診」アピール—神奈川県歯

神奈川県歯科医師会(松井克之会長)は9日、県内のプロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」と「横浜ビー·コルセアーズ」による対戦イベントで、「GoTo歯科受診」をテーマに、ブース展示やオリジナル動画放映などで健康推進や口腔衛生の大切さをアピールした。

日歯が「根面う蝕」の啓発動画を公開

日本歯科医師会(堀憲郎会長)は、根面う蝕の危険性と予防法を伝える新作動画『放っておくとたいへん!歯の根のむし歯』を、ホームページ内の「日歯8020テレビ」で公開した。

マイナンバーによる資格確認で「負荷のない対応を」—遠藤日歯副会長

第6回「健康·医療·介護情報利活用検討会」、第5回「医療等情報利活用WG」及び第3回「健診等情報利活用WG」が9日、東京都千代田区のTKP新橋カンファレンスセンターとオンライン上で開かれた。「データヘルス集中改革プラン等の主な論点と検討の方向性(案)」について議論し、多少の修正の後、座長一任で取りまとめられることが了承された。日本歯科医師会の遠藤秀樹副会長は、マイナンバーによる資格確認と確認できる医療情報の同意について、医療機関と患者双方に負荷がかからない対応を要望した。

平成30年度国民医療費で歯科は2兆9,579億円

平成30年度国民医療費で、歯科診療医療費は2兆9,579億円と対前年度と比べて576億円、2.0%増え、同統計が歯科医療費を把握し始めた昭和37年度以降、過去最高となった。医療費総額は前年度より3,239億円、0.8%増の43兆3,949億円で、歯科の構成割合は前年度より0.1ポイント増の6.8%だった。

介護報酬の引き上げ要望—保団連

全国保険医団体連合会(住江憲勇会長)は11月30日、「2021年介護報酬改定で、介護報酬の大幅な底上げの実現を求める緊急要望書」を田村憲久厚労大臣宛に送付した。

食道がんのリスク因子となる歯周病菌を特定—医科歯科大ら

歯周病原細菌の一つ「アグリゲイティバクター·アクチノミセテムコミタンス菌」が食道がんのリスクファクターとなる。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科、臨床腫瘍学分野の三宅智教授と川﨑万知子大学院生、歯周病学分野の池田裕一助教らの研究グループが江戸川病院、総合南東北病院オーラルペリオセンターとの共同研究で特定した。

食道がんは、早期診断が困難で浸潤や転移の頻度が高く、生存率が低いと言われている。同研究成果は国際科学誌『Cancer』オンライン版(11月6日)で発表された。

病原性の抑制に期待 Pgの分泌メカニズムを解明—長崎大ら

慢性歯周炎だけでなく関節リウマチや心血管疾患、膵癌などとの関連も示唆される細菌「ポルフィロモナス·ジンジバリス(Pg)」の病原性の抑制につながる研究成果が発表された。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔病原微生物学分野の雪竹英治技術専門員、庄子幹郎准教授、内藤真理子教授、中山浩次名誉教授のグループと大阪大学大学院理学研究科の今田勝巳教授のグループとの共同研究で、Pgが病原因子を分泌する遺伝子の発現調節に関与する菌体表面タンパク質「PorA」を発見した。同研究成果は『Scientific Reports』オンライン版(12月3日)に掲載された。

コロナ感染を口腔映像で判別—順天堂大グループら開発

口腔·咽頭の映像で新型コロナウイルスに感染しているかを判別する検査機器が開発された。順天堂大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学の池田勝久教授の研究グループらによるもので、2日に発表があった。今後、国内外の医療機関や自治体と協力して、同機器で撮影した映像を収集していく構え。

東和ハイシステム JASDAQ上場へ

東和ハイシステム(本社·岡山市、石井滋久代表)は11月20日、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場への新規上場が承認されたと発表。上場日は今月25日を予定している。

薬価改定の議論 中医協薬価専門部会で医療費への影響試算

中医協の第172回薬価専門部会が9日、オンライン上で開かれ、薬価改定の対象品目の範囲と医療費への影響の試算が示された。診療側からは全国の医療機関に相当な影響がある数字として、改定をする場合、コロナ禍において医療現場への影響が最小限となる範囲に限定すべきと強調。支払側は品目の偏りなどに遺憾の意を示した上で、今回限りの特別ルールの検討に理解を示した。

脱着を想定した接着剤 光照射で接着力が6割低下—医科歯科大

紫外光照射で接着力が低下する歯科用接着剤が新たに開発された。東京医科歯科大学の研究グループによるもので、治療後に不要になった材料を脱離する際や、脱着に伴う歯質の損傷の軽減につながる研究として期待がかかる。国際科学誌『ACS Applied Polymer Materials(エーシーエス アプライドポリマーマテリアルズ)』オンライン版(11月25日)で発表された。

薬価調査で歯科用薬剤の乖離率はマイナス0.3%

厚労省は、令和2年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値を2日の中医協薬価専門部会で報告した。薬価と市場での取引価格との開きを示す平均乖離率は約8.0%で、歯科用薬剤の乖離率はマイナス0.3%となっている。支払い側委員は、平均乖離率等の数値が例年並みとして、平時の改定ルールに基づく改定の議論をすべきとする—方で、診療側委員は新型コロナウイルス感染症により医療崩壊が起きつつある中、医療提供体制を崩壊させないような慎重議論を求めた。

令和2年8月の歯科医療費  社保は件数5.2%減 点数2.1%増

社会保険診療報酬支払基金による令和2年8月診療分の総計確定件数は8,453万2千件、点数は1,465億7,865万5千点で、前年同月に比べ件数は7.3%、点数は2.9%それぞれ減少した。歯科の件数は1,222万8千件、点数は149億1,693万4千点で、前年同月に比べ件数は5.2%減少、点数は2.1%増加した。

令和2年8月の歯科医療費  国保は市町村524億円、10%の減少

国保中央会がまとめた令和2年8月診療分の総医療費は市町村国保と国保組合、後期高齢者を合わせて2兆1,900億円で、うち後期高齢者分は1兆3,478億円だった。歯科医療費は市町村が524億円で、対前年同月比で1.0%減少。組合は45億円で0.9%増加。後期高齢者は473億円で0.9%減少した。

口腔がんの「腫瘍間質」が悪性度や浸潤などを制御—岡山大らが解明

通常は口腔がんの手助けをする「腫瘍間質」が、口腔がんの悪性度や浸潤などの性格を制御していることが判明した。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の長塚仁教授、高畠清文助教らの研究によるもので、スイスの学術誌『International Journal of Molecular Sciences』(10月18日)のResearch Articleとして掲載された。

パノラマとCBCT 根管形態分類—致率は85%

 愛知学院大学歯学部放射線学講座の船越琢磨氏らは、1,058本の下顎第二大臼歯の形状をパノラマレントゲンとCBCTの画像で比較し、両者に高い関連性があることを解明した。

後期高齢者患者負担で慎重な対応要望—国民医療推進協

医療関係を中心に41団体で構成する「国民医療推進協議会」(中川俊男会長)は2日、第15回総会を開き、後期高齢者の患者負担割合について慎重に対応するよう求める決議を採択した。

介護報酬改定関連で運営基準の改定案など議論

社会保障審議会の第195回介護給付費分科会が2日、オンライン上で開かれた。令和3年度介護報酬改定に向けて、「運営基準の改正等の概要」と、各サービスの提供に当たって遵守を求める「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正等に関する事項について」の案が示された。事項案の施設系サービス共通では、「口腔衛生管理の強化」が盛り込まれ、日本歯科医師会の小玉剛常務理事は、できるだけ早期に全ての施設で口腔衛生管理の体制が整うように施設関係者と連携を進めたいとの考えを示した

医療制度改革の議論の整理案を厚労省が提示

社会保障審議会の第136回医療保険部会が2日、東京都千代田区の全国都市会館で開かれ、医療制度改革についてのこれまでの「議論の整理(案)」が示された。「全ての世代の安心の構築のための給付と負担の見直し」「医療機関の機能分化·連携等」「生涯現役で活躍できる社会づくりの推進(予防·健康づくりの強化)」を柱にまとめられており、現在審議の途中の「後期高齢者の窓口負担割合の在り方」「不妊治療の保険適用」「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」については「調整中」となっている。

大病院受診時の定額負担拡大で林日歯常務が地域の実情への配慮求める

社会保障審議会の第135回医療保険部会が11月26日、東京都千代田区の全国都市会館で開かれ、後期高齢者の窓口負担や大病院の受診時定額負担の拡大など医療保険制度について議論した。日本歯科医師会の林正純常務理事は、改めて後期高齢者の負担能力の判断基準について慎重な検討を求めるとともに、大病院の定額負担拡大では、地域の実情に合わせた運用、柔軟な対応を求めた。

東京歯科大学、慶應義塾と統合へ 2023年4月めどに協議

学校法人の東京歯科大学(井出吉信理事長·学長)と慶應義塾(長谷山彰塾長)は11月26日、歯学部の慶應義塾大学への統合及び法人合併の協議を開始すると発表した。2023年4月をめどに協議を進めるとしている。

日歯会長予備選挙 現職の堀氏が立候補表明 「歯科ビジョン」実行に意欲

日本歯科医師会会長の堀憲郎氏は11月26日、次期会長予備選挙に立候補する決意を表明した。定例記者会見の終了後に発言したもの。

介護報酬改定 口腔衛生管理体制加算の基本報酬への包括化を提案

介護報酬改定の議論で、全ての介護保険施設が口腔衛生管理体制を確保するように促すため、「口腔衛生管理体制加算」を廃止し、同要件を—定緩和した形で、基本サービス費の要件とすることが提案された。11月26日にオンライン上で開かれた社会保障審議会の第194回介護給付費分科会で示されたもので、日本歯科医師会の小玉剛常務理事は同加算の基本報酬への包括化に賛成した上で、「歯科医師、その指示を受けた歯科衛生士との定期的な連携を図った上での口腔健康管理が行われる体制は堅持すべき」と訴えた。

新型コロナで自民党に支援事業の延長·対象拡大など求める—日歯

日本歯科医師会は、感染拡大防止等支援事業の延長·対象拡大、感染予防策に係る診療報酬上の評価などを自民党政務調査会新型コロナウイルス感染症対策本部に要望した。11月26日の日歯の定例記者会見で堀憲郎会長が報告した。

集英社のコミックに日歯が協力

歯科衛生士の歯守リンゴが、口腔内のあらゆるトラブルに立ち向かうコミック『デンタルクエスト』(集英社)が11月19日に発行された。日本歯科医師会の定例記者会見で小山茂幸常務理事が報告した。

「健康寿命の延ばし方」の国民向けレポート作成—日歯

日本歯科医師会は、国民に向けて「歯と口からはじめる健康寿命の延ばし方」と題したレポートを日経BP総合研究所から発刊した。日歯の国民向けホームページでは11月26日、同社サイトでは30日から公開。近く紙媒体も発行され、全国の保健所や放送局、新聞社などに送付するとしている。日歯の定例記者会見で柳川忠廣副会長が報告した。

後期高齢者の窓口負担増の対象「慎重な確認必要」—林日歯常務

社会保障審議会の第134回医療保険部会が11月19日、東京·永田町の全国都市会館で開かれた。後期高齢者の窓口負担を2割にする対象者の線引きの五つの案と、長期にわたる外来受診の急激な負担増を抑えるための配慮措置の案が示された。日本歯科医師会の林正純常務理事は、負担能力の判断基準を慎重に確認する必要性を強調。「負担が増えても、それ以上に納得感の得られる明確な制度設計であるべき」と訴えた。

健康な女性が心掛けていること「食後の歯磨き」17.5%—中高年者縦断調査

 厚労省は、同じ集団に対して14年前から行っている第15回「中高年者縦断調査」の結果を11月25日に公表した。第1回調査から15回まで健康状態が「よい」と答えている人が心掛けていることで、女性の17.5%、男性の8.7%が「食後の歯磨き」と答えている。

『歯科医院のトリセツ』『最強の歯科ミーティングバイブル』著者が合同サイン会

『最強の歯科ミーティングバイブル』(デンタルダイヤモンド社)の著者、角祥太郎氏と、『歯科医院のトリセツ(治療編/通院編)』(医歯薬出版)の著者、笠間慎太郎氏の合同サイン会が11月23日、東京·水道橋のデンタルブックセンター·シエン社で開かれた。

9月の歯科診療所数 6万8,187施設

 厚労省の施設動態調査による令和2年9月末現在の歯科診療所数は全国で6万8,187施設で、前月より10減少した。開設者別歯科診療所数の個人は757減少、医療法人は421増加となっている。

歯科技工業務で功労者42人を表彰—厚労大臣表彰

歯科技工業務功労者厚生労働大臣表彰に42人が選ばれた。厚労省が11月20日に公表したもの。

同表彰は、長年にわたり歯科技工の業務を通じて、日本の歯科医療の向上に貢献し、顕著な功績があった者に贈られるもので、歯科医療行政の推進に寄与することを目的としている。

『日本歯技』11月号で技工士の賃金モデルを公表

日本歯科技工士会(杉岡範明会長)は、歯科技工士の給与を決める際の賃金モデルとなる令和2年度の「歯科技工士基準賃金表」を『日本歯技』11月号に公表した。人事院規則や厚労省による調査を基に歯科技工士労務対策委員会が検討、作成したもの。賃金モデルとして発表されたのは、「職務別モデルケース」と「年齢·経験別モデルケース」の二つ。

社会政策の健康アウトカム—ハーバード大が検証

さまざまな社会政策のうち、どの施策が人々の健康アウトカムに寄与するか。ハーバード大学のコーティン·E氏らが5,880編の論文などをレビュー。最終的に38のランダム化社会実験について報告している61論文を検証した結果、幼少期、教育、所得、医療保険に関連した施策は健康度合いの自己評価の改善に寄与している可能性があることが分かった。『Milbank Quartely』(98巻2号、2020年)に論文掲載した。

摂食嚥下筋肉の仕組み解明 障害予防法やリハビリの確立に期待

加齢によって舌は大きくなる傾向があり、舌骨上筋群は委縮するなどの筋量に関する仕組みを東京医科歯科大学の研究グループが明らかにした。筋特異的な摂食嚥下障害予防法やリハビリテーションの確立に期待がかかる成果で、国際科学誌『Journal of the American Medical Directors Association(JAMDA)』オンライン版(11月20日)で発表された。

ミュータンス菌 cnm遺伝子保有株 微小脳出血に関与—
阪大大学院らが共同研究

ミュータンス菌のうち、脳の血管内のコラーゲンと結合できるcnm遺伝子保有株(cnm陽性ミュータンス菌)は、微小脳出血の出現に関与する―。大阪大学大学院歯学研究科口腔分子感染制御学講座と国立循環器病研究センター、慶應義塾大学医学部らの共同研究によるもので、米国の心臓協会と脳卒中協会が発行する国際誌『Stoke』(12月号)に掲載された。

副作用少ない切迫早産の治療薬 口腔がん治療に期待

切迫流·早産などの治療に用いられる「イソクスプリン」が、口腔がんの悪性化要因の上皮間葉移行(EMT)を抑制する—。東京医科歯科大学大学院の研究グループが明らかにしたもので、正常細胞のがん化という副作用の少ない口腔がんの新規治療法の開発に期待がかかる。成果は国際科学誌『Cancer Science』オンライン版(11月19日)に掲載された。